先日、営業先で名刺をもらったとき、「これ、石でできているんですよ」と言われた。

どう見ても普通の紙なので、そのときは「いやいやまたご冗談を」と笑っていたのだが、家に帰って調べてみたら、ストーンペーパーという「紙」が、本当に存在することがわかった。
どうやって作られているのか、またどんな目的で使われているのか? ストーンペーパーを販売している、株式会社TBMに色々とお聞きした。

「ストーンペーパーは、木材ではなく、石灰石を原料としています」(TBM担当者)
ということで、正真正銘、石からできた紙である。見た目はほとんど普通の紙と変わらないが、持ってみると、その違いがわずかにわかる。石だけに、ちょっと重いのだ。どれくらい重いかというと、一般上質紙の密度がだいたい0.85 グラム/立方センチメートルなのに対し、ストーンペーパーは1.2グラム/立方センチメートル。つるつるとした手触りで、水に濡れても大丈夫らしい。


このストーンペーパーを開発したのは台湾のメーカー。原料が異なるだけあって、普通の紙とは製造方法も大きく異なる。
「一般的な紙は、木材チップを煮込み、繊維(パルプ)を取り出してシート状にする、といった工程で作られますが、ストーンペーパーの場合、石灰石から抽出した炭酸カルシウムと高密度ポリエチレンを混ぜて小さな破片にし、それをローラーで押し出してシート状にします」(TBM担当者)
日本での取り扱いは、2008年の秋ごろからはじまったのだそうだ。

木材を使用しない点、また原材料の白色度が高く、漂白工程がないため水質汚染が少ない点などから、特に森林に対する環境負荷が小さいことが最大のポイントで、トヨタ「プリウス」の販促品のメモや、昨年開催された地球環境グローバルサミットのパンフレットにストーンペーパーが使われるなど、環境意識の高い企業や機関から注目が集まっているのだとか。

ともあれ個人的には、石から紙をつくる、という発想が新鮮で興味深い。石以外でも、金属や布など、様々な素材で名刺を作ってくれるところもあるようだ。
フツーの名刺じゃ物足りない人は、ぜひ利用してみては。
(珍満軒/studio woofoo)