こないだ大阪駅を歩いていたら、エスカレーターが修理中だった。日頃からエスカレーターの中身がどうなっているのか、知りたかったのでチラッと見ると、なんというか非常にアナログな感じだった。
上と下に大きなモーターがついている以外は、基本的にがらんどう。昔からずっと変わっていないように見えるのだが、エスカレーターは進化しているのだろうか? エスカレーターを製造しているメーカーに問い合わせてみた。

まず、エスカレーターって、昔から進歩していませんよね、と決めつけて聞いてみると、「いえいえ、そんなことありません、エスカレーターには様々な技術がつけられているのですよ」とのこと。
「もっとも重要なのは、緊急停止装置や天井につけられた三角ガードなどといった安全装置ですが、最近はこれ以外に、『省エネ』をキーワードにした技術が搭載されるようになっています(担当者)」

例えば、普段はとてもゆっくりなのに、乗った瞬間にはやくなるエスカレーターに乗ったことがある人もいると思うが、あれば実は省エネの一環で取り付けられた「無人時微速運転」という機能らしい。また、これ以外にも、エスカレーターが混雑していないときには速度が微妙に遅くなる「エコモード運転」という機能も搭載されたものがあるのだとか。普段は30メートル/秒で動いているものが25メートル/秒になる、という程度の変化なのだが、「気付く人はほとんどいない(担当者)」のだそうだ。

また、エスカレーターの「作られ方」も微妙に変わりつつあるらしい。これまでは、設置される建屋の中で組み立てられるのが普通であったが、最近は、工場で最終の形まで作り、そのまま建屋まで運搬し、大型クレーンで中に搬入するという、なんともダイナミックな方法で作られることもあるらしい。
「このような方法により、現地での作業時間が10分の1程度になるので、現地の通行規制が大幅に減少します(担当者)」ということで、使われるときだけでなく、作られるときにも、便利さが追求されているようだ。

では、今後はどんな技術が搭載されて行くのだろうか? これについては、「あまり詳しくは申し上げられませんが、例えば、エスカレーターと列車の到着情報とを連動させるシステムが検討されています」とのこと。これが完成すると、列車が到着したときはホームから改札の方向に動き、列車が出発するときには反対向きに動く、といったように、利用状況に合わせて、エスカレーターの動きが変わる、賢いシステムができるかもしれない。

ということで、エスカレーターは、日々進歩しているのだ。
見た目は同じだけど……。
(珍満軒/studio woofoo)
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