8月23日に閉幕した世界陸上。
男子100メートル&200メートルでの、ウサイン・ボルト選手のダブル世界新には、会場も、今回テンションが低めだった織田さんも、大興奮だった。


ところで、そんなボルトのレースを見ていて、何かがヒラヒラとコースに舞っているのが気になった人はいないだろうか。特にスタート直後、いくつかのコースで紙のようなものが舞っていた。

アレって何だったんだろう。

そこで、調べてみた。するとそれは「腰ナンバー標識」や「腰ナンバーカード」って呼ばれる、レーン番号が書かれたシールだった。写真判定のためにショーツ横へ貼り付けて、選手をゴールラインの横から判別するためのものだという。

ってことは、はがれ落ちちゃったら困るはず。今回の男子100メートルで、ゴールまでにナンバーがはがれ落ちた選手は8人中5人。男子200メートルでは8人中4人。こんなに落ちてたら、つけても意味がないんじゃ?

写真判定のとき、問題はないんだろうか。日本陸上競技連盟に話を伺った。
「確かに写真判定で、見にくくはなりますね。
ただ、例えば2人同時なら1人にナンバーがついていればわかりますし、レーンを見れば場所でなんとか判別できます。そのため、絶対なくてはならないものというわけではないんです。また、レーンで区切られていない中長距離ですと判別は難しいですが、写真判定になることが少ないですし」

腰ナンバーがあるに越したことはないけど、はがれ落ちちゃったら仕方ないっていうのが現状だという。シールだから、パンツの素材がタイツみたいにツルツルしてたり、汗で濡れてるとくっつきにくい。それに短距離は動きが激しいから、余計にはがれやすくなる。レース直前でも簡単につけられるシールにしている以上、絶対はがれないようにするのは難しい。


だったらせめて、もっと粘着力の強いシールにしたらいいのにって思うけど、メーカーによるとそれも難しいという。腰ナンバーを作成しているシナノ体器によると、
「シールの粘着力が強すぎると、はがすときにウエアが傷ついたり、のりがウエアに残ってしまって、洗濯などでウエアが汚れてしまう原因になります。そうしたことを考えると、強すぎず、弱すぎない粘着力にせざるを得ないんです」
とのこと。ん~、シール以外のまったく新しい方法じゃないと、この問題は解決できないのかもしれない。

どうしてもはがれちゃう腰ナンバー。新しい方法が見つかるまで、しばらくは写真判定をする人にがんばってもらうしかないみたいだ。

とりあえず、ボルトには必要なさそうだけど。
(イチカワ)