最近は、“タレントなのに牧場主”だったり、“ホームレスなのに漫画家”であったり(これは違うかもしれないけど)、「天は二物を与える」と言わんばかりの多彩な才能の持ち主が脚光を浴びている。そして、ここにきて変り種のラーメン屋店主の情報をキャッチした。

東京都・町田にあるラーメン店「つけめん ★ONE★」の女性店主は、ラーメン屋店主であり芸人でありラッパーだというのだ。

これは興味深い! というワケで、お話を伺いつつラーメンを食べに行ってきました。
お店に到着すると、ラーメン店らしからぬ(?)お洒落な店内を切り盛りする女性が一人。この方が店主の當麻真生(とうままきお)さんだ。

この當麻さん、実は吉本興業の養成所である東京NSCの10期生。今をときめくオリエンタルラジオやはんにゃ、フルーツポンチと同期であった。
しかし、芸人活動中に出産を経験。それからは子育てに追われたため、お笑い活動を一時休止。
結婚・出産などで、自分のやりたいこともままならない状況。そんな中、お笑い修行中に行っていた“ラーメン食べ歩き”でくすぶった「ラーメン屋をやってみたい」という想いが増幅。町田に、このラーメン店を開店した。

當麻さんの憧れの芸人は青木さやか。
「こんな面白い女芸人がおるのか!」と、26歳の時に大阪から上京。木村祐一の指導が受けられるということでNSCに入学し、当時は特技のラップを用いた“お笑いラップ”を主武器として活動していた。
というのも、上京前の當麻さんはクラブでヒップホップや歌、ラップのライブを自ら開くなどして活躍。同時期の仲間にはPUSHIMやMINMIがいたと言う。

そんな幅広い経歴を持っていても、肝心の味が悪かったら本末転倒なのだ。そこで、お店の一番の人気メニューである「味玉つけめん・並」(850円)を注文してみた。

正直、期待はしていなかった。しかし、これが濃厚とんこつ味でハンパなく美味いのだ! いや、マジで。お店には、ラーメンの名店「一風堂」の社長も直々に味わいに来たというから説得力がある。
元々、料理が得意だった當麻さんだが、ラーメンの修行期間は1カ月。10冊のラーメン本を読み込み、ほぼ独学で現在の味に辿りついた。ラーメンの造詣が深いお店の常連さんが、様々なラーメンの情報を教えてくれることもある。
當麻さんのポリシーは「一番安くて、一番おいしい」。
お店の内装はカフェをイメージ。イケアでテーブルやイスなどを買い揃えた。「ダサいお店にしたくなかった」という言葉通りの、イケてるラーメン屋。6月28日には2号店を出店し、現在は3号店のオープンも予定されている。

最近は芸人活動を休止していた當麻さんだが、来年からはNSCで知り合った芸人仲間とのコンビで再始動を予定。
その時は、「ラーメンをテーマにした漫才をやりたい」と考えている。
また、“喋れるラーメン店主”として、テレビでの活動も行いたいという當麻さん。

単純にラーメンを食べてみたい方は、お店に行くもヨシ。當麻さんに興味を持った方は、オファーを出すもヨシ。お店の方で連絡は絶賛受付中とのことなので、遠慮なく電話(TEL:042-728‐0405)しちゃってあげてください。味もしゃべりも保証できるし、数多の芸人にはないコクのある人生を送っているから、深みがある。

人物像も、まるでラーメンのようだ。
(寺西ジャジューカ)