まだまだ残暑は厳しいが、新さんまが魚屋に並び始めている時季。
さらに秋が深まると、さんまやキノコに、すだちやレモン、ゆず、かぼすなどといった果汁がたまらなく愛おしくなってくる。


他にも、刺身に、うどんに、冷ややっこに、サラダのドレッシングに、ひとたらしするだけで手軽に格段に美味しくなるため、我が家では瓶に入った濃縮還元の「ゆず果汁」「すだち果汁」「レモン果汁」などを冷蔵庫に常備しているのだが、先日、使用する際に、思いがけない出来事があった。

冷蔵庫から取り出し、フタをあけると、「ポンッ!」と大きな破裂音を立てて、フタがはじけたのである。
ちなみに、商品の賞味期限はまだまだ先だが、開封後、冷蔵庫保存で1カ月ぐらい経つ。
これって、よくあること?

濃縮還元果汁を製造するメーカーに問い合わせてみると……。
「保存料などを使用していないため、開封後、時間が経ちますと、液体が発酵し、炭酸のようなガスが発生して、勢いよくフタが開くことがございます」とのこと。

冷蔵庫で保存していても、カビ菌や酵母菌が入り込むことはよくあり、夏場などは特に発酵が進んで、炭酸のようなガスが発生しやすいのだという。

「発酵していても、体に害はないのですが、本来、発酵させる商品ではないですし、炭酸のようなガスによって、容器が破裂するといったことも考えられますので、使用はおやめいただいたほうが良いと思います」
ちなみに、無添加の濃縮還元果汁やストレート果汁などは、商品にもよるが、「開封後、冷蔵庫で1~2週間で使い切る」というのがおススメらしい。
そのため、できるだけ小瓶でマメに購入することをメーカーでは勧めている。

ところで、「ペットボトルの飲み残しが発酵して、容器が破裂する」という事故は、よく報告されているもの。
ペットボトルは、直接口をつけて飲むため、飲料の中に、口の中の雑菌が混入してしまうのが理由とされているが、こうした場合、菌が果汁飲料などの中で繁殖すると、炭酸ガスが発生して、容器が破裂したりキャップが飛び出すという事故につながる。

瓶入りの果汁の場合、直接口に触れるわけでもなく、「少量ずつ使う」というケースが多いこと、また、「冷蔵庫保存しているから大丈夫」と思うことが多いが、 同様に「発酵→破裂」といったケースはときどき起こることのよう。

1回の使用量はそれぞれわずかのため、小瓶であっても、なかなかすぐには使い切れない果汁瓶。
とはいえ、発酵の可能性もあるので、ゆず、すだち、レモン汁など、小瓶を各種冷蔵庫に入れて使い分けて楽しんでいる方は、ぜひご注意を。
(田幸和歌子)