夏に飲むビールの旨さは言わずもがなだが、秋のビールの味もまた格別だ。ドイツではまさにいま世界最大のビール祭りが開かれているし、日本でも近く横浜で「横浜オクトーバーフェスト2009」が予定されているなど、ビールがらみのイベントも多い季節である。


ただし、ビールの楽しみ方は飲むだけにあらず。以前コネタでも、ビール大国チェコの「ビールコスメ」を取り上げたが、同じくチェコには「ビールスパ」なるものもある。いわゆるビール風呂だ。

チェコにはビールスパがいくつかあるが、「ビア・ボティヒ・バート」(Bier Bottich Bad/以下BBB)と呼ばれるビールスパもそのひとつ。1997年にオーストリアで創設され、すでに12年の歴史を持つ。いまではドイツやスイスなどにも展開しており、チェコではポーランドとの国境にほど近いピーセクという町のホテル(Wellnes Hotel Bahenec)内にある。


アルコールが苦手な人なら想像しただけで酔ってしまいそうなビールスパ。だが実は、BBBでは風呂桶にビールそのものを入れているわけではない。37度前後のお湯に、ビールの原料である麦芽、ホップ、酵母などをそのまま加えているのだ。風呂はゲストが利用する15分前に準備されるそうだが、各材料の注入量や入れる順序は企業秘密とのこと。ちなみに風呂桶は特殊な木で作られており、適温を保てるようになっているそう。

もちろんホップや麦芽のおかげでビールらしさはあるものの、ビールそのものではないのでアルコールは含まれていない。
とはいえ、風呂桶のすぐ脇にある蛇口をひねれば、ホンモノのビールがジャンジャン出てくるので、ビール好きもご安心を。しかもバスタイムの約20分間、このビールは飲み放題。飲みすぎにはくれぐれも注意したいものである。

至福のバスタイムを楽しんだあとは、オート麦で出来たベッドで30~45分の休憩。ほかにフィンランド式のサウナなども付いて約2時間のコースになっている。料金は45ユーロ~。
2人なら60ユーロとさらにお得だ。

このビールスパ、健康面での効果も注目されているが、ビール好きにとってはこの環境でリラックスできることが何よりの至福となるはず。秋にはプラハにも新たなBBBもオープンするそうなので、旅行者が気軽に体験できる機会も増えそうだ。
(古屋江美子)