寒い夜を迎えるたび、こたつが頭をよぎる11月。すでにこたつを出して、ぬくぬくしてる人もいるかもしれない。
こたつを出すというか、こたつぶとんを出すというか。

こたつのテーブル自体は、年中部屋に置かれてる家も多い。インテリアに溶け込む色合いの、いわゆる“家具調こたつ”。僕が今持っているこたつも、木製で茶色い、これぞ家具調って雰囲気のこたつだ。

でもちょっと待った。そういえば前に持ってた、全体的に白くて足が樹脂製の数千円のこたつも、買うとき“家具調”って書かれてた気がする。
もちろん年中テーブルとして使ってたし、天板には木目っぽい模様が入ってた。でも粗大ごみとして捨てるときは、家具調じゃないただの“こたつ”に分類された。

なんとなくのイメージはあるけど、説明しにくい“家具調こたつ”っていう言葉。一体、定義って何なんだろう。社団法人日本家具工業連合会に話を伺ってみた。
「“家具調こたつ”に、定義はありません。
業界での取り決めもないんです。1年中使えるテーブルにこたつの機能をつけたものを、家具調こたつと呼ぶことが多いですが、メーカーの考え方によります。見た目が似ているこたつでも、メーカーによって、家具調とつける場合と、そうでない場合がありますからね」

メーカーや販売店でも、“デザイン性の高いテーブル”や“木製であること”など、それぞれの基準で“家具調”と呼んでいるだけの様子。また日本家具工業連合会によると、日本で初めて“家具調”と表記されたこたつも、メーカーの販売戦略だったのではないか、とのこと。業界内での定義はないようだ。

買うときに決まりがないんなら、捨てるときはどうだろう。
東京都の多くの地区では、粗大ごみが「家具調電気こたつ」と「こたつ(家具調電気こたつ以外)」の2つに分かれていて、家具調の方が手数料は高い。ここなら明確な基準があるかもしれない。新宿清掃事務所に話を伺った。

「一番の基準は、重さですね。家具調の方が重いことなどから、手数料も高く設定してあります。新宿区の場合、粗大ごみ全般の手数料を、基本的に重さによって決めているんですよ。
例えばサーフボードは大きいですが、軽いため最低料金の200円になっています。重さがすべてではないですが、家具調かどうかは、主に重さで判断していただいています」
確かに僕が粗大ごみとして出したときも「男性が1人で持てる重さですか?」って聞かれた。でもこれは、家具調こたつの基準じゃなく、粗大ごみとしての基準。家具調の定義を説明する材料にはならなさそうだ。

というわけで、ひどく申し訳ない結論だけど、家具調の定義は“それぞれメーカーなどによる”。家具調っていう言葉は、聞こえのいいネーミングとして使われてるだけのようだ。

まったく、売る側にとって便利な言葉は、いつも曖昧だ。
(イチカワ)