音楽が好きな人にとって、イヤホンやヘッドホンは必需品。音質や装着感などにこだわりをもっているユーザーは多いだろう。
ところで、両者の形の違いは一目瞭然だが、では音質は何が違うのか。
ちょっとマニアックなこの疑問をメーカーのオーディオテクニカに聞いてみた。

まず、イヤホンとは何かを知ろう。
「イヤホンと言うと昔からある『インナーイヤー型』のものを指します。ここ数年は通称『カナル型』と呼ばれる『密閉インナーイヤー型』が主流となりつつあります」
最近のイヤホンはカナル型に代表されるように出力部が細くて小さくなり、その分耳の奥まで入れられるので音漏れを防止できる。そのようなタイプのイヤホンが最近増えているのだ。


「イヤホンは持ち運びに便利というのが一番の特徴ですが、筐体が小さいためヘッドホンのような余裕のある音量、音質を確保することが難しい部分もあります」

さて、ヘッドホンはどうか。耳全体に載せるように装着する「耳載せ型」と、イヤパッドで耳をすっぽり覆う「耳覆い型」に大別される。「耳載せ型」は薄型形状が可能でポータブルヘッドホンのスタンダードな形状のひとつ。一方「耳覆い型」は音モレ防止に効果的で、筐体に充分な容積がある。そのため、ドライバーも大型のものを使用できるので、豊かな音場を楽しめる。

で、結論。
前述した「余裕のある音量、音質」 これがキーワードだ。
具体的には音量が大きく音域が広い(とくに低音部)という意味。
「ユニット、筐体が小さいと大音量出力は難しく、やはり低音は出にくくなります」
イヤホンとヘッドホンの音の違いはこれが一番大きいということ。

ただ、近年はiPodの影響で小型で携帯に便利なイヤホンが注目され、それとともにユニットのスペックの向上や材質、形状の改良が進み、以前よりも音質は全体的にかなり向上しているそうだ。

屋外で音楽を聴くとき、携帯性のイヤホンか、高音質のヘッドホンか。あなたならどっち?
(羽石竜示)