部屋を借りてる側にとって、なるべく払いたくない賃貸契約の「更新料」。東京などでは2年ごとに家賃1か月分を支払うのが相場で、更新料がある物件は、都市部を中心に100万件にのぼるとされる。
戦後の住宅難のころからずっと続いてる慣例だ。

そんな中で昨年、更新料は無効だっていう裁判の判決が続いて、報道では「これから更新料がなくなっていくかも」なんてことが言われ始めた。でもその後、更新料がなくなってきてるという話題も聞かず、どうなったのかよくわからないまま、今、更新シーズンを迎えてる。

これって結局、どうなったんだろう。払わなきゃなんないのか、払わなくていいのか、不動産相談を受けている方に伺った。
「更新料無効の判決は、例えば1年で2か月分の更新料を払っていたり、礼金など他の料金も関係していて、借り手側にとってかなり厳しい契約だったりしたんですね。
また一方で、更新料は払うべきという判決もたくさん出ています。裁判官がどう判断するかによりますが、例えば2年で家賃1か月分の更新料などでは、払わなくていいということにはまだなりにくいですよね」

じゃあ、すぐに更新料がなくなるってことはない?
「そうですね。いろいろな意見があるかと思いますが、まだしばらくは、更新料を支払うだろうというのが個人的な意見です。これまでの判決は、地方裁判所や高等裁判所の段階なので、通過点でしかないんですね。今後、最高裁判所で更新料無効の判決が出れば、いずれ法律を変えていく可能性も出てきますが、もうちょっと先になるかもしれません」

更新料問題は、かなり複雑だ。
貸す側は「そもそも更新料を払う約束で契約したでしょ」と言い、借りる側は「でも更新料なんて法的に支払義務はないじゃないか」と言う。
貸す側は「家賃以外の礼金や更新料も含めたトータルで物件を選んだでしょ」と言い、借りる側は「更新料は消費者を圧迫しすぎだ」って言う。それはすべてごもっともだから、事例や裁判官によって判決が違う。

そんなわけでとりあえず今は、正当な金額だったら支払い、不当な金額だったらまずは相談する、そんな当たり前のことをするしかないみたいだ。

「借りる側が更新料の支払いを拒んだことで、大家さんとの関係が悪くなることもあります。まれかもしれませんが、信頼がなくなって、家賃の値上げをされる場合もあるみたいですし。拒んだり、訴えるのもひとつの手かもしれませんが、払わなくて済めばラッキーだからゴネてみたという程度で戦うべきじゃないと思います」

まだまだどうなってくかわからない、更新料問題。

慣習が変わるには、時間がかかるか、大きなきっかけが必要みたいです。
(イチカワ)