今年の新入社員は「ETC型」と名づけられたらしい。心のバーがなかなか開かず、“うちとけるまで時間がかかる”といったことがネーミングの所以らしく、上司や先輩はスピードの出し過ぎに注意が必要なのだとか。


仕事に対する価値観も多様化しており、明治安田生命の調査によると、この春に就職を予定している学生に「将来どこまで昇進したい?」と聞いたところ、「役職には興味がない」(46.7%)と答えた人が最も多かった。その理由として、「仕事はほどほどで、仕事以外を充実させたい」「役職より良好な人間関係に重点を置きたい」が目立った。従来とは違う価値観を持ち、心を開きにくい社員に接するには、いったいどうすればよいのだろうか?

産業カウンセラー・キャリアコンサルタントで、職業相談に携わっているK氏は、「小さな仕事でもいいから責任を持たせて依頼すること。その結果失敗したとしても“ありがとう”などの感謝の言葉をかけること。そのことが先輩と後輩との仕事での絆となり、やる気を起こさせる一つであることと思います」と話す。

さらに、“価値観の違い”という観点で参考になりそうなのが、海外の働き方。たとえば今、ブログやツイッターで話題となっているシンガポールで働く男性のブログ『ニートの海外就職日記』を見ると、シンガポールに代表される、日本とは違う海外の仕事に対する考え方や職場の様子が垣間見られる。

とても穏やかでのびのびとしていて、怒ったり、怒鳴ったりなどはタブーな職場の雰囲気は、うらやましい限り。労働環境を見ても、定時で帰り、有休を消化することを前提としており、よくテレビで見るような、5~6週間休みを取ることも実際に珍しくないようだ。しかし、それもただサボっているだけではなく、「仕事は生活の一コマ」だから「さっさと終わらせよう」という、とても割り切った仕事に対する考え方から、仕事の効率はよく、一人当たりのGDPを見てもシンガポールは日本を上回っている。

愛情を持って仕事をしている日本人サラリーマンとは間逆のような話だが、ひょっとしたら現代の若者に通じる部分もあるのかも? 新入社員の対応に迷った上司のみなさん、こんな海外情報の一端も、一読の価値があるかもしれませんよ。私も、読破してしまいました。


世代が違えば価値観が違うのは当たり前。生き方、考え方が多様化する今、自分の仕事観を押し付けず、広い心で仕事をすることが大事なのかもしれませんね。
(金子大輔)
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