提灯は赤いもの、と思いこんでいた。しかし最近、夜の闇に浮かぶ緑色の提灯があるのをご存じだろうか。

これ、今から5年前、2005年の4月23日からはじまった面白い試みなのだ。

日本は食料自給率が低いと言われて久しい。この自給率の低さを何とかしたいと立ち上がったのが、この緑提灯。
日本産食材の使用量がカロリーベースで50%を超えるお店の軒先に、緑色の提灯を飾ってもらおうという運動だ。

お店は食材の仕入れ先を知っているが、客からすると仕入れ先などわからない。お店に自信を持ってもらうと共に、お客さんの店選びの指針になれば……という思いからスタート。
この緑提灯には星が1から5まで描かれていて、地場・国産品を50%使っているなら星1つ、60%を超えれば星2つ。最高は90%使用で5つまで星がつく。
 
もともとこの案が生まれたのは北海道。
北海道を旅行する人は、道内で食べられる食べ物は北海道産ばかり。と思い込んでいるが、意外にも海外産も多い。
道産の食材は、お店で使われるよりも県外に売り出した方が儲けが出る。
そこで「北海道で道産の食べ物を消費しよう」、と第一号灯が小樽に灯った。

それから5年。今年の4月18日段階で全国2747店舗。
北海道の稚内から、南は波照間島まで全ての都道府県に広がりを見せている。
もちろん最高なのは90%使用で星5つのお店。しかし星の数を競うのが目的ではない。
「自給率の向上に貢献するのが目的です。星1つでもいいのでたくさんのお店に緑提灯が灯ることが理想です」
と、緑提灯の応援隊の方は言う。

日本食材といわれると思いつくのはやっぱり和食。しかしこの緑提灯に加盟しているのはイタリアン、フレンチと料理ジャンルを超えている。
さらに、整骨院、花屋、結婚式場までなんでもござれだ。

その緑提灯を手に入れる方法は、まずは公式サイトで申し込み。

提灯の手塗りバージョンは1万円、印刷バージョン9000円の寄付金が必要だが、手塗りバージョンは江戸時代から続く洋傘店さんがひとつひとつ手塗りで仕上げてくれるそうだ。

星の数は自己申告。罰則もないので嘘をついたら……? と心配になってしまうが、
「この提灯を掲げる人にそんな嘘をつく人はいないと信じています」
それにそんなお店はお客さんから見限られるはずだ、と言う。

4月23日はこの緑提灯が誕生して5周年の節目に当たる日。
“緑色の物を身に付けて緑提灯のお店を訪れようキャンペーン”や、首都高・レインボーブリッジを緑色にライトアップするなどのイベントも実施予定だそう。

パッと目を引く赤ではなく、セーフの緑。夜には案外、目に届く。
この緑提灯のお店をお客さんが選ぶことで、日本産食材を使ったお店が増えればいい、という願いも込められている。

今晩は、緑提灯のお店で一杯いかがでしょう。
(のなかなおみ)
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