ホテルのベッドに入るとき、「足元が窮屈……」とか「どれとどれの間に入れば良いの?」とか、疑問に思ったことはないだろうか。

ホテルのベッドは、シワひとつなく、非常に気持ち良いもの。
でも、どういうわけか身体の上にかけるものもマットの下に挟みこまれていて、「どこまで剥いで良いものか」「どこに入るのか」と迷うこともある。

なぜホテルのベッドでは、上にかけるものもマット下に挟むものなのか。
一流ホテルのベッドの販売を行うサイト「一流ホテルのベッド」担当者に聞いた。

「ベッドメイクは伝統的にマットの下にはさむというやり方になっています。これはやはりシワが寄りにくく、クリーニングしたての清潔感を与えやすいためだと思います」

ベッドに入る際、「どこに入れば良いかわからない」状態になってしまう理由は、シーツと羽毛布団との間の「アッパーシーツ」が原因では? という指摘だった。
「昔は、下にシーツがあって、上にかける『アッパーシーツ』が、羽毛布団の下にあるというのが一般的でした。
このとき、アッパーシーツもシーツと一緒にマットの下に挟み込むことが多いので、『どこに入るの?』となるんだと思います」

「アッパーシーツ」はもともと、体に直接布団が触れないように、布団の襟元の部分で折り返し、布団を汚れないようにする役目を持っているのだという。
「ベッドメイクの際には、布団はそのままで、アッパーシーツだけを日々交換するようになっています」
なぜアッパーシーツを下に挟み込むかというと、「ズレ落ち防止と、パリッとのびた感じを出すためでは?」とのこと。

ところで、この「下に挟み込むスタイル」については「窮屈」という声もあるそうで、最近は挟まないホテルも出ているらしい。

さらに、このような「アッパーシーツ」を使用しない「デュベタイプの羽毛ベッドカバー」というものが、ここ十年ほどで、国内・海外ともに増えているのだという。
「従来のベッドカバーは、羽毛布団にすっぽりかぶせるタイプでしたが、デュベタイプの羽毛ベッドカバーは、片方がオープン状態で裾が長くなっており、オープンになっている長いほうから、布団を入れるようになっています。ベッドメイクの方法も、デュベカバーの長い裾をマットレスの下に巻き込むことで、ズレ落ちを防止することができます」
これは、カバーだけ取り替えてクリーニングできるという清潔さ・便利さから、多くのホテルで採用されているそうで、さらにデュベは清潔感のある白系の色が多いため、その上に帯状のベッドスロー(ライナー)をアクセントとしてかけるホテルも増えているという。

ちなみに、この「デュベタイプ」でも、やはり「足元が窮屈になる」ということから、挟み込まないホテルも出ているらしい。

見た目に美しく、清潔感溢れる、ホテルのベッドの「マット下の挟み込みスタイル」。ズレ落ちは気になるけど、やっぱり寝るときには足元を解放したい人、多いようです。
(田幸和歌子)