ひとつは、「ルーレ」の部分を高めに、上がって下がるもの。標準語ベースでの「カレールー」とか「ビリージーン」、あと「ララァ・スン」とかの感じ。だいたい雰囲気つかめますか。
もうひとつが「ルー」部分に強くアクセントを置いたもの。「武勇伝」「アラーキー」「テリーマン」とかの言い方に近い感じの。ソニーのCMで矢沢が言う「ブルゥレイ」という感じがいちばんメジャーでしょうか。
ブルーレイ規格が発表されてから8年、ララァとテリー、果たしてどっちが主流なのか、正解はあるのか。まずは家電メーカーに、社として決まった言い方があるか聞いてみた。まずA社の場合。
「会社として特に決まりはないです」
B社の意見はこうだ。
「日本語と外国語でも違うでしょうし、特に意識はしていませんね」
そして、C社の担当者はこう言っていた。
「規定は定めてないのですが、『ブルーレイ』(テリーマン型)のほうだと、たとえば『ブルゥレイ、レコーダー』とかなって(伝わりますか?)、後に続く言葉と続けにくいかな、という印象はありますね」
続けて大手家電量販店にも同様にたずねてみた。
「社としては特にアクセントに関しては定めていないですね」(D社)
別の量販店のE社もF社もメーカーと同様、決まってはいないとのことだが、F社担当が、個人的な意見としてこんなことを言っていた。
「どちらかといえばブルーレイ(ララァ)が正式なのかな、と思うのですが、今は『ブルゥレイ』と言う人は多いです。矢沢さんのCMがものすごく影響があったんだと思いますね」
やっぱり矢沢のCMなのか。
現状ではメーカー、販売店ともに明確には定めていない感じだが、日本語の研究を行う国立国語研究所に相談してみたところ、アクセント辞典などに載っているアクセントに関する法則があるから、それを参考にしてみてはというアドバイスをいただいた。それに沿って考えると、2語以上の合成語と考えられる外来語は、2番目の要素にアクセントが置かれる傾向が高いらしい。そうすると、ララァ・スン型が主流になる可能性が高そうなのだが。
英会話講師をつとめたりするアメリカ人の知人に「英語ではどうなのか」とたずねてみたとろ、
「Blu-ray、ですね」
超いい発音だ(当たり前)。そして、矢沢的なアクセントに近い。
「矢沢は、英語として発音してるんじゃないでしょうか。英語は最初にアクセントをもってくることが多いですからね。その矢沢の言い方がインパクト強かったんでしょう」
グローバルに活躍するE.YAZAWAならではだ。あくまで個人の推察としてだが、本来は「外来語」、カタカナ言葉として広まりそうなところに、早々に「外国語」的な矢沢のCM が出現し、一気に塗りつぶした。
そんな矢沢をCMに起用した、ソニーの関係者に聞いてみた。当然おたくは「ブルゥレイ」に決まってますよね、と。しかし。
「そんなこと考えたこともないですよ(笑)。自分の周りでは、どちらかというと『ブルーレイ』(ララァ)と言ってますね」
……。ブルーレイ自体の普及とともに、言葉のアクセントもまた、テリー派、ララァ派、混在しながら浸透していく途中ということみたいです。
(太田サトル)