これでもかというほど暑い、この夏。

「気温36度」なんて表示を見ると、人間の体温と同じくらいの数値だけに、見ず知らずの人とぴったりくっついている不快感を連想してしまうことがある。

「38度」なんて日にいたっては、かなり高熱で心配な病状の人をぴったり抱えているような気分だ。

ところで、同じ36度といっても、気温の36度と、お風呂の36度では、感じ方が全く違うもの。
気温36度の場合は、かなり暑くて辛いのに、お風呂の36度はぬるくて物足りないし、季節によっては入れたもんじゃない。
同じ温度で、なぜこんなにも感じ方が違うのだろうか。湿度の関係か?
気象の専門家に聞いてみると、
「もちろん湿度の関係もありますが、お風呂の場合は衣類を着ていないため、暑く感じないということもあると思います。同じ36度でも、不快に感じるのは、汗で衣類がベトベトくっついてしまうから。
36度でも裸で過ごしていれば、それほど暑くないということもあるんじゃないでしょうか」
とのこと。衣類だけの問題!?

そういえば、サウナでは、100度という高温でも平気でいられるっけ……。100度のお風呂になんか当然入れないのに、これはなぜなのか。都内の内科医に聞くと……。
「これは、水と空気との熱伝導率や比熱(あたたまりにくさ)などの違いがかかわっているからです。空気と水とでは、熱を吸収する速度が違います。
たとえば、水が体温より少し低いだけでも、体温が水のほうに奪われてしまい、どんどん寒く感じていきますが、空気の場合は熱を吸収しにくいので、体温があまり奪われず、逆に皮膚からの放熱が少なくなってしまい、どんどん暑くなっていくんですよ」
一般に、哺乳類は体温42度以上になると、体内のたんぱく質が固まって死んでしまうといわれるが、サウナの100度に耐えられるのは、こうした熱伝導率の違いが大きいのだそうだ。
「また、サウナの中は、湿度が極端に低いから耐えられるということもあります。湿度が低いと、発汗が十分にされ、体温調節機能が働くので、皮膚の表面温度が下がり、火傷をしないんですよ」

湿度や熱伝導率などのかかわりから、感じ方の変わる温度。
猛暑の36度も38度も、風呂に入っていると思えば……ってのは、やっぱりムリな話です。
(田幸和歌子)