「ガンパレード・マーチ」通称「ガンパレ」。開発アルファ・システム、発売ソニー・コンピュータエンタテインメント。2000年に「プレイステーション」(初代PS)向けに発売され、雑誌メディアやインターネットの口コミなどでヒットしたゲームです。
特筆すべきは、その長寿ぶり。なんと10年たった今でも新品が6090円(税込み)で販売中です。細々ながらリピート生産も続いているとのことで、いやービックリです。
この時を超えて愛されるタイトルのダウンロード販売が、9月22日から“PlayStation Store”のゲームアーカイブスで始まりました。「プレイステーション 3」(PS3)でアクセスするだけでなく、インターネットに接続したPCとPSP 「プレイステーション・ポータブル」があれば、専用ソフト「MediaGo」を経由して、直接購入できちゃいます。
んでもってポイントは、ゲームアーカイブスのソフトなら、PS3とPSPのどちらでもプレイできること。つまり、あの「ガンパレ」がいつでも、どこでも手のひらで遊べちゃうんですよ。これ、ゲームの内容を知ってる人なら、かなり衝撃的な話じゃないかなあ。
気になるプレイ感覚ですが、PSPの液晶画面に対して実際のゲーム画面が、一回り小さく表示される以外は問題なし。
前置きが長くなりましたが、さっそくゲーム内容の紹介です。突如として出現した謎の「幻獣」に対し、世界各地で敗退を続ける人類。プレイヤーは学徒出陣の兵士となり、人型戦車「士魂号」などの戦力で立ち向かっていくという設定です。ゲームの主な舞台は九州・熊本市にある尚敬高校とその周辺。勉強や訓練などを行う学園パートと、幻獣と戦う戦闘パートの繰り返しで進んでいきます。
このゲームの最大の特徴が、その高い自由度。学園生活を共におくる仲間で、幻獣と戦う「戦友」は全26名。主人公以外のキャラクターは人工知能(AI)で行動し、複雑な人間関係を結んでいきます。この箱庭世界をベースに、さまざまなイベントが発生し、ストーリーが進んでいく。言うなればデジタル版「お人形さんごっこ」なんですね。
プレイヤーの目的はゲームが始まる3月4日から、幻獣の活動が停止する5月11日まで生き残ること。
ちなみに本作はオリジナル版の発売時、バグ(不具合)の多さでも話題になったタイトルで、「プレイステーション 3」(PS3)のゲームアーカイブス版でも健在です。一緒にダウンロードされるマニュアルの冒頭に、バグ一覧が掲載されていますので、一読を強くオススメします。バグを逆手にとったような「裏技」も試せますが、メーカー保証外ですので気をつけてください。
10年たって改めて遊ぶと、学園モノをベースに戦時下の日常を組みあわせ、SF要素を散りばめた独特の世界観が、いまだに新鮮です。現実社会と違って、この世界では軍隊や戦争について議論するのが当たり前。いわゆるセンスオブワンダーです。戦術に関する多数のうんちくも、良いスパイスになっていますよ。
さらに深掘りすると、グラフィックやサウンド、ゲームシステムなどに比べて、世界観は商品力が長持ちするんですね。
まあ、でもPSP 「プレイステーション・ポータブル」で遊べるのが最大のヒットです。チマチマとしたプレイ感覚に良く合っています。個人的には二周目以降で、イベントがスキップできる程度の改良は欲しかったところですが、そこは許そう目をつぶろう。昔日のファンはむろん、今のゲーマーにも幅広く遊んで欲しいタイトルです。(小野憲史)