「明日朝の最低気温は、平年値に比べて8℃高い13℃の予想。4月下旬なみの暖かな朝となるでしょう」
天気予報でよく、こんなセリフを聞く。
ところでこの「平年値」が、来年1月から変わることをご存知だろうか。

同じ12月でも、年によって寒かったり、暖かかったり。だから「平年値」は30年間の平均値をとって、「普通の12月はこのくらい」という値を示している。今、天気予報で使われている「平年値」は、1971年から2000年までの平均。でも、温暖化などによって、「普通の12月」の姿も時代とともに変わってゆくもの。だから、平年値の方も、10年ごとに見直すことになっているのだ。

正式発表はまだだが、来年1月1日から、平年値は1981年から2010年までの平均に変わる。どんな風に変わるのだろうか。まだ2010年が終わっていないので、あくまで推定になるが、札幌、東京、新潟、長野、鹿児島の5都市について試算してみた。ポイントを何点か紹介。

1. 東京の気温
年平均気温は、15.9℃から16.2℃に上昇しそう。近年、冬の朝の最低気温が上がっている。
もし、朝の最低気温の予想が3℃だったら、今は「2月下旬なみの寒さ」と言うけれど、来年からは「2月中旬なみの寒さ」と言うことに。季節が10日ほど温暖化した感じだ。

2. 1年間に雪の降る日数
大幅に減っているのかと思ったら、案外そうでもない。新潟、長野、鹿児島はわずかに減りそうだが、札幌、東京は逆に少し増えそう。東京は9.3日から9.7日に変わりそうだ。

3. 1年間に雷が鳴る日数
調査した5つの都市すべてで増えそう。最近、激しい雷雨のニュースが増えたように感じるけれど、数字の上にも現れているようだ。新潟については「日本海の海水温が上昇している」がひとつの理由と言われている。

4. 1年間に霧が出る日数
こちらは、調査した5つの都市すべてで減りそう。東京と長野の減少割合が大きい。都市化が進んで街が乾燥し、朝の気温も下がりにくくなったことが原因と言われる。裕次郎の『夜霧よ今夜も有難う』がヒットしたのは1967年。
すっかり昔のことになった。

よく「異常な高温」とか言うけれど、異常かどうかは、平年値からのズレがひとつの目安になる。平年値が変わることによって、今年まで「異常」だったものが、来年から「異常」じゃなくなるかもしれません。
(R&S)
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