なんかもう、こうやって車種名打ち込んでるだけで、なんだか胸いっぱい。
「スーパーカー」。
このムック、単にブームを彩った当時の数々の名車を紹介しているだけでなく、スーパーカーブームという、当時の子供たちが熱病に冒されていたような時代の空気を、なんというか、かゆいことすら忘れていたかゆい所(?)を、わざわざ教えてくれるような感覚で切り取ってくれている。
たとえば冒頭いきなり出てくるのが、街角やモーターショーで撮られた、スーパーカーのスナップ写真! そう、スーパーカーの写真を撮るため、当時の子供たちはカメラ持って街に出た。
もちろん、スーパーカーの実車の紹介がメインの記事で、多くのページが割かれているが、グッズ紹介のページでは、ミニカーやプラモデルはもちろんのこと、文具、スーパーカー消しゴムにスーパーカーカード、「消しゴムレース」の必需品としてスーパーカー消しゴムの相方(?)のような存在だった、BOXYのボールペンも紹介。そして、コカ・コーラの王冠裏にスーパーカーが印刷されたキャンペーングッズまで(『スター・ウォーズ』のもありましたね)!
さらに、ブームの牽引役となったマンガ『サーキットの狼』作者の池沢さとし(現・早人師)さんへのインタビューも忘れない。Q&Aの質問がまた、やっぱり「かゆい所」系で、たとえば「隼人ピーターソンのモデルって誰ですか?」とか「幻の多角形コーナリングはあるドライバーが実践していたテクニック?」とか「スナック『ポルシェ』は千葉県柏市に実在したんですか?」とか。
笑っちゃうぐらい微に入り細を穿ちすぎる一冊だが、今回一番ツボだったのが、東京12チャンネル(現テレビ東京)の人気番組『スーパーカークイズ』がクイズ問題付きで載っていたこと。
カウンタックのLP500S“ウォルター・ウルフ”は、カナダの石油王がワンオフでオーダーした一台だとか、フェラーリ512BBの最高速度はカウンタックより2km/h速い302km/hだとか、ランボルギーニ・イオタは結局何台作られたのかといった逸話が、当時の子供たちをグッとつかんだ。思えば数年後に起こるガンダムブームのときには、「ジョニー・ライデン少佐機の赤いザクは、戦後の写真集でシャアの機体と間違って紹介された」とか「時期主力モビルスーツのコンペが行われ、ギャンを抑えてゲルググが採用された」とかいう逸話系の設定に、やっぱり燃えた。そういえば、スーパーカーの「246GT」とか「935-77」とか、モビルスーツの「06R-1A」とか「GP-01 fb」とか、型番的な名称で認識できるのもまた、どこか似ている。
スーパーカーとモビルスーツ、意外な共通項発見だ。
とりあえず、カウンタックのプラモでも買いに行こう。
(太田サトル)