「耳たぶの次に冷たいのはお尻」だとか「女性のお尻はいつも冷たい」だとか、よく聞く。

さらに、「猫の鼻と女の尻は大暑三日の外は冷たい」(大暑=1年で一番暑い時期以外は、猫の鼻先は湿っていて冷たく、女性のお尻もほぼ1年中冷たい)なんてことわざもある。

でも、本当にお尻って冷たいの?

自分の場合、寒いときにためしに尻を触ってみると、「あったかい!」と感じるときもある。少なくとも手よりはだいぶあたたかい気がするけど……。
そこで、実際に室内と外において、脇の下と尻、指先の温度を測ってみた。脇の下は通常と同じく、尻はパンツイン測定、指先は手で体温計の測定部をギュッと握るという方法である。

 ・室内 脇の下36.5℃のとき、尻は32.5℃、指先はエラー(冷たすぎたのか?)
 ・外(外に出てから10分後に測定) 脇の下36.5℃のとき、尻も指先もエラーに(やはり冷たすぎ?)

脇の下のようにしっかりはさめないという理由も考えられるが、それでもやっぱり尻は冷たいように思える。
そこで、都内の内科医に聞いてみると、こんな回答があった。

「体の中で一番温度が高いのは、胸、心臓、腹の中などの体の中心部。そのため、体温を測る場合も通常、耳の中や口の中、直腸など、中心部に近い場所なんですよ」
体の中心部から遠い手足が冷たいのはともかく、尻は「中心部」に近いのだからあたたかくて良さそうなものだけど……。
「体温が低い部位は人によって違います。でも、脂肪の温度は低いので、脂肪が多い人はより冷えていると考えられます。女性のお尻が冷たいと言われるのも、やはりそのせいはありますよ」

やっぱり尻は冷たくても仕方ないものなのか……。だが、統合医療に携わる別の都内の医師は、こんな解説をしてくれた。

「脇と比較して冷たい部位は、冷えている部位です。意外と自覚のない冷え症の人は多いんですよ。たとえば、身体は温かいのに、どうも手足が冷たい人は、末端冷え性の可能性があります。また、頭はぼーっとのぼせているような状態になっているのに、身体の各部位は冷え切っている『冷えのぼせ』の人もいます。いずれも、あたためたときに『心地よい』と感じるのは、冷えているから。冷え対策をしたほうが良いですよ」

ところで、手足が冷たいときには、手足だけをあたためる人も多いが、それではなかなか冷えが解消できないもの。
「冷えを解消するためには、筋肉の量が多い部位=おなかや太もも、お尻などを集中的に加熱することが大切なんですよ」(前述の統合医療医)

いつでも冷えてるお尻、もう少しあたためてあげたいものです。
(田幸和歌子)
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