最近、住宅街などでカラオケ喫茶の看板をよく見かけるようになった。
中から演歌や談笑などが漏れ聞こえ、一見さんお断りの空気が漂っているこのカラオケ喫茶。
いったい中はどんなことになっているのだろうか。

カラオケ喫茶はカラオケ屋とは異なる。喫茶店にカラオケがあると言う立ち位置で、利用者は年配の人が多め。
あくまでも形態は喫茶店。コーヒーなどを飲みながら歌を歌って聞いて楽しむ場なのでカラオケに重きが置かれる。さらにカラオケにうるさい人が集まるので、良い機材が置かれていることも多い。

最近オープンしたばかりと言うお店にお話を伺うと、「システムはお店によって異なると思いますが、大体チケット制ですね。一枚で一曲歌えます。後は歌い放題システムを取っているお店も多いです」
お値段はドリンク500円~。チケット1枚100円~300円ほど。
しかしお金を払ったからと言って、一人でマイクを独占することはできない。人数にもよるが、もし混んでいれば自分にマイクが回ってくるまで30分以上待つことも。
カラオケ屋なら30分100円程度なので、歌える量を考えればカラオケ喫茶は断然高い。

それに常連ともなれば知りあいも増えるだろうが、それまでは知らない人の前で歌うこととなる。
身内だけで行くカラオケとは違った緊張感だ。これは実際楽しいのだろうか?
「歌好き、歌を聞かせるのが好きな人が集まるので楽しいと思います」
人が集まるのはそこが社交場と化しているから。

「これもお店によりますが、お料理の持ちこみオッケーなお店も多いんですよ」
と、お店の人は言う。
「店の売上は下がりますけど、でも近所のお年寄りが作った惣菜を食べてもらえると喜んだりもしますので。まあ経営は趣味の延長みたいなもんです」
実際趣味が高じて自宅を改装。そのままカラオケ喫茶にしてしまう人も多いそうだ。

カラオケ喫茶で守りたいマナーは歌を真面目に聞くこと。順番を守ることなど、あくまでも常識の範囲内。
若者の間では「歌を思いきりうたいたい! 気遣いなしに歌いたい!」と、一人カラオケ、“ヒトカラ”が流行。ヒトカラ用プランを出すカラオケ店などもあるそうだ。
それに反してかつての大人たちは人前で歌うことを選んだ。
とは言え、実際は一人カラオケ以上に敷居が高いのがカラオケ喫茶。思いきって扉を開ければ新しい世界が見えてくるのかもしれない。

ただし、営業時間は早いところで夕方まで。
良心的な時間で締めるお店が多いのは、防音問題に気遣ってのこと、だそうだ。
(のなかなおみ)
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