日本人はしゃべらない。
この部分は「日本人の悪いところ」と言われることが多々ありますね。

はっきりと言えよと。主語と述語を明確に。 
イエスかノーかもすっきりと。
 
うんまったくもってそのとおり! 言葉ははっきり言うべき!
でもね、日本人が言葉を濁したり、時に黙ったりするのって「いいところ」もあるんじゃないのかな?
そんな「しゃべらないよさ」を描いた4コママンガが「森田さんは無口」です。

その三巻の限定版が発売になったんですが、なんとまさかのアニメ化DVD付き。
最初聞いてびっくりしましたよ。
だって考えてみてくださいよ、ヒロイン一言もしゃべらないんですよ!
どういうアニメなんだそれ。いいのか!

とにかくDVDをオン。再生。
うん。森田さん、しゃべんないな!
無口キャラといえば「エヴァ」の綾波とか「ハルヒ」の長門とかを思い浮かべるかもしれませんが、違うねん。ぶっきらぼうなんじゃなくて、本当に無口なんです。

マンガで読んでいてわかっていたけれども、全くしゃべらない子ってこういうふうに見えるのか……あらゆる言葉を受け止めつつ柳のように受け流す様子が不思議な感じでなりません。

ヒロインの森田さん、めちゃくちゃ考えすぎちゃって言葉にすることが出来ず無口になっている、という設定。そのためモノローグシーンは早口で花澤香菜さんによって演じられています。だからいくら無口といってもアニメ的に会話のないシュールな映像になっているということはありません。
しかし脳内一人会話シーンと、全くしゃべらない外から見たシーンのギャップは異常。マンガという媒体はそもそも音がないので気にならなかったのですが、アニメにすると脳内トークと実際のしゃべらない状態の温度差がガッツリ出ていてえらい面白いことになってます。
限定版アニメはそこまで長くありません。3月25日にはアニメオリジナルDVDとして発売されるようです。
短いアニメならまあ無口シーンも面白いんですがこれが24分の尺になるとどうなるのやら!?

さて、今作は一見普通の4コママンガなんですが、いろんな部分で今までの「絵の常識」を破壊してるんです。
たとえば左にある表紙絵をの目を見てください。他の子は目に光が入っているけど、ヒロインの森田さん目に光入ってないんです。こういうのってたいてい心神喪失するくらいのショックを受けたときに使う表現なんですが、「森田さんは無口」においては思慮深さの表現として用いられています。

だから面白いことに、全くしゃべらないのに森田さんの周りには人が集まるんです。大親友のマシンガントーク屋さんの美樹をはじめ、いろんな友人が森田さんの側に寄ってきます。
一般的には目に輝きがなくてしゃべらないとなると「何を言わんとしているのかわからないから不気味」と見られるでしょう。実際それはそういうキャラでいいんですよ。
でも「目で伝わらない」「言葉で通じない」から本当にディスコミュニケーションに陥るのか?という題材をこの作品は軽快に乗り越え、一つの解答を出しています。言葉じゃないもので通じるものは絶対あるよと。
 
人はあえてしゃべらない場合があります。
意思表示が出来ないからだけではありません。相手のことを考え、思いやる心を持っているからです。
それをゆっくり待って、相手の言葉を聞いてあげるのもまた、優しさです。
「しゃべらないこと」によるコミュニケーションを描いたちょっと変わった作品。個性的な面々に囲まれた、無口な森田さんに惚れること間違いなし。

 
まあ一番プッシュしておきたいのは作者の佐野妙が女の子の裸足制服のフェティッシュをよくわかっているところですね!
ニーソやハイソもいいけれど、制服+裸足はくるね。これからの時代をリードするね。間違いないね。
(たまごまご)
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