今も昔も女性の憧れの街である「京都」。年間4500万人(うち、女性が66%)が訪れるというだけあって、書店の旅ガイドコーナーでも「京都」と「パリ」だけは他都市の1.5~2倍は棚面積が広い気が……。
なおかつ、最近は「京都の桜」「喫茶店」「パン屋さん」「京コスメ」「朝ごはん」などなど、コンテンツのニッチ化が激しくなっている。

そして、このたびついに『そうだ 裏京都、行こう。』なるコミックエッセイが登場! 金閣寺や清水寺、嵐山など観光の鉄板コースを巡っただけで「京都はだいたい極めた」と思っていたイラストレーターのふじいまさこさんが、京都通エッセイスト・葉石かおりさんのナビゲートで驚きの「裏京都」を初体験していく……というストーリー。

観光客向けのお店ではなく、「地元人が通うお店に行きたい!」というのは旅人の永遠の願い。とはいえ、在住の友達でもいないとなかなか難しいもの。そこに一役買うのがこの一冊。
「こんなに惜しげもなく情報をさらしてしまっていいのか?」と心配になってしまうディープでマニアックなネタが満載で脱帽!

私も実はひそかに「京都ツウ」を自負していたのだけれど、「生湯葉と豆乳のエステ」、「一見さんお断りの焼肉屋さん」、「地元の人も知らない裏飲食店街」なんて知りませんでしたよ。いや京都人は日々、こんなところで楽しんでいたんですね……。
コミックを読んで楽しむだけでなく、お店データやお土産情報はもちろん、巻末には地図まで付いているのでガイドブックとしても使える、まさに1冊で2度おいしい京都本なのだ。

個人的にツボだったのは、「ニセ舞妓とリアル舞妓は『ある箇所』で見分ける!」なるコラム。京の街を歩いていると「舞妓体験、してみませんか?」という貼り紙をよく見かける。祇園や先斗町あたりを歩いていると、舞妓さんに外国人観光客や修学旅行生が群がって写真を撮っている姿をよく見かけるが、実は「なんちゃって舞妓」だったらショックですよね~。

本物の場合、「だらりの帯」にそれぞれが所属する置屋の紋が入っているのだそうで、なるほど……と感心。今度、舞妓さんを見かけたら背後にそっとまわってみよう、と心に誓った次第であります。

版元によると、「パワースポットやお寺、神社ブームで京都が再注目されています。それに伴い、リピーター客の増加には目をみはるものがあります。そこで、『裏京都』のみに絞った、世界初の裏京都ガイド本を作ろう! というところから企画がはじまりました」とのこと。
そういえば、京都観光のリピート率はTDLと同じくらい高いとも聞いたことがある。
足を運べば運ぶほど、「私はあなたのこと、何も知らなかったのね……」という気持ちになってしまう、まさに底なし沼のような魅力を秘めた街なのだ。フルメークの華やかな「表」だけでなく、意外に親しみやすくてユニークなすっぴんの「裏」も体験してみてはいかがでしょう?
(まめこ)