基本、カネをかけない主義だったが、紆余曲折の3年間にはムダもあり、タイムマシンがあったら、3年前の自分に「とにかく、この教材を使っとけ!」と教えに行きたい。そんな「英語教材ベスト3」を紹介する。
まずは『英語上達完全マップ』(以下、『マップ』)だ。これは、英語学習は楽器やスポーツと同様、「練習してうまくなるもの」という考えを前提にした「学習方法の書いてある」本だ。音読やディクテーション(書き取り)、多読、文法の知識や語彙の増強など、英語の練習をするにあたっての、「必要な本は○○で、それを何回読んで、何ヶ月繰り返す。その次はこれ」といった具体的カリキュラムが、「会話したい」「読書したい」といった目的別に細かく書かれている。
もちろん、これを読んだだけでは英語は身につかない。練習は必要だし、そもそも、ここに書かれているのはカリキュラムだけなので、そのための「練習用の本」を手に入れる必要がある。しかし、この本が優れているのは、むしろ、カリキュラムの提示に特化しているという点だ。英語の学習本の中には、「この一冊ですべてまかなえる」というのを売りにしている本もあるが、実際には、それはありえない。
また、中には、学習法の理念だけ書いていて、カリキュラムのない本もある。これはこれで、一種の自己啓発本のようなもので、読んでる間は「その気」になるが、具体的な練習となると、どうしていいかわからない。この本のように、具体性な指示のある本は意外と少ないのだ。
さて、必要な「練習用の本」はこの本にすべて書いてある。なので、本の紹介はこれで終わりにしてもいいのだが、一冊だけ、あえておすすめしたい本がある。『英会話・ぜったい音読』
この本にはCDがついていて、それをまねて、中学レベルの英文をただただ毎日音読する。そして書く。それだけ。正直言って地味だ。地味だが、続けてみるとこれほど強力な練習法はない。3月ごとに耳がレベルアップしていくのが実感できる。
最後に、本以外の教材もひとつおすすめしたい。DSソフトの『もっとえいご漬け』だ。英語の会話を聞き取ってタッチペンで書く。つまり、ディクテーションが基本のソフトだが、さすが任天堂。ゲーム的味付けが最高で、こればっかりは書籍にはマネできない。
おもしろいのが、ものすごーく聞き取りにくい早口の英文。たとえば、パトカーのサイレンがウーウーなってる中で、警官が「手をあげろ!」とか言ってるのを聞き取る、一種の意地悪コーナーがあるのだが、最初は全く聞き取れない。猫のキャラに、「もっと分かりやすく言ってだって? 甘えんじゃないわよ!」などとボロカスいわれ、呆然とするしかない。ところが、『マップ』の練習が進むに連れ、聞けるようになるのだ。これは感動ものである。
以上3教材。独学者には金銭的に時間的にもかなりのパフォーマンスになると思う。何から手をつけていいかわからない初級者に、特におすすめしたい。
(麻野一哉)