最近日本ではじまった、“Kia Kaha!”(キアカハ)運動を知っていますか?

「Kia Kaha」(キアカハ)とはニュージーランドの先住民マオリの言葉で、「強くあれ」(Be strong)という意味。今年2月22日にクライストチャーチで起こった大地震以降、ニュージーランドでよく耳にするようになった言葉だ。
3月18日におこなわれた同地震の追悼式においては、英国ウィリアム王子のスピーチもこの言葉で締めくくられたほか、街のあちこちでもこのメッセージを目にする。ニュージーランドの人たちのあいだでは、復興のための合言葉になっているのだ。

そんな言葉を冠した運動、 “Kia Kaha!”運動が日本でもスタートした。発起人はニュージーランド政府観光局とニュージーランド航空。クライストチャーチ震災、そして3月11日の東日本大震災に見舞われたニュージーランドと日本が力を合わせ、苦しい現況を乗り越えていこうと呼びかけるもので、観光業にたずさわる両社の立場から、一日でも早い観光復興を目指すことも目標に掲げている。

すでに報じられているように、日本でも震災を理由に宿泊予約等のキャンセルが相次ぎ、観光業への打撃は大きい。
こんなときに旅行なんて……とためらう人もいるだろうが、旅行もまたひとつの復興支援になりえる。クライストチャーチも、中心部はいまだ立ち入り禁止だが、市内のホテルやレストランは少しずつ再開し、復興への歩みを進めている。

“Kia Kaha!”運動では専用のポータルサイトを用意。メッセージと意思を伝えながら、運動のための各種ダウンロードツールも提供している。ポスター、ステッカー、バナー、壁紙、さらにフェイスブックやツイッター用のアイコンなど、運動に賛同する人ならだれでも自由に使用可能。また、缶バッジも配布中だ。


ちなみにアイコンのデザインは、日本とニュージーランドの国旗をグリーンとブルーのサークルで結んだもの。青い海に囲まれた緑の島国であるよく似た両国が、また安心と希望を取り戻せるよう、互いに助け合い、より強い絆で結ばれようとしていることから、豊かな自然のモチーフに「安心」を表すグリーン、晴れわたる青空のモチーフに「希望」を表すブルーを使っているのだという。

言葉・エールでいっしょにがんばろうという運動であり、スローガンなので、具体的に何かイベント等があるわけではないが、ニュージーランド各地では、この言葉の力によって、さまざまな復興運動がおこっている。日本でも今後、賛同者による自発的な活動が始まることも期待されそうだ。

圧倒的な自然の破壊力を前に、どんな言葉も無力に感じることもあると思う。だが、言葉によって励まされ、生きる力を与えられることもある。
まずはサイトをのぞき、復興への思いを再度強くしてもらえたらと願う。
(古屋江美子)