もっとも、twitterが非常に便利だっていうのは、皆さんご承知のとおり。そこで、かってにツイートが拡散したりしない、似たようなサービスはないものか……。そんなニーズに応えて生まれたのが、2008年にアメリカで登場した「Yammer」(ヤマー)です。日本語にも対応しており、昨年後半から静かなブームを巻き起こしています。
Yammerを一言で説明すると、「企業向けに作られたtwitter」です。twitterと同じように、Yammerにも公式サイトがあり、ブラウザだけで使えます。Windowsのシステムに常駐する公式クライアントソフトもあり、これがなかなか便利。勝手クライアントを作る環境も用意されていて、MacやLinux版もありますよ。
んでもって、twitterが不特定多数にツイートできるのに対して、Yammerは原則として、同じドメインのメールアドレスを持つ集団でしか、ツイートできません。あ、ドメインってのは「test@domein.com」なんかの、@以下の部分ですね。会社で支給されるメールアドレスって、そんな感じになっているでしょう?
当然ながらYahooメールやGmailなどの、ウェブメールでは登録できません。
「ふーん、じゃあ個人ユーザーには関係ないよね」と思った貴方、大間違いです。というのは、ドメインって今や、簡単にとれちゃうんですよ。詳しい取得方法は省きますが、年間1000円以下で取れるものもゴロゴロしています。大学や趣味のサークル、お店、はたまた個人名でドメインをとることも今や普通。たとえば、このサイトなどから、希望するドメインが取得できるかどうか、チェックしてみるだけでも面白いですよ。
もう一つ、今回の震災で夏の電力不足が懸念されています。これを契機に、在宅勤務を検討中の企業も少なくありません。そこで課題となるのが、社員の情報共有とコミュニケーション。まさかtwitterで打ち合わせをするわけにもいきませんからね。もし社内でグループウェアやメーリングリストを活用していたり、取引先とSkypeでのミーティングを多用されているなら、迷わずYammerの導入をオススメします。
Yammerの最大のメリットは、twitterと同じ感覚で使えること。業務内容だけでなく、個人がフランクに言い合える自由さがあります。誰かの意見をリツイートしたり、リプライしたり、お気に入りに設定したり、ダイレクトメールを送ったり、キーワードで検索したり、スレッド表示で閲覧することも可能です。
一方でtwitterのような140字の制限はありませんし、添付ファイルを送ることもできます。フロアやセクションごとにグループを作ることも可能。取引先など、ドメインの異なる人でも、コミュニティ機能を使えば連結できるんです。スマートフォン向けのアプリもあり、外出先からツイートをチェックすることもできます。
そして何より、これらのサービスが無料で使えるんですよ。といっても、有料のプレミアムサービスはまだ、日本で提供されていないんですが……。
逆に人数が増えると、大事な情報が大量のツイートに埋もれてしまいがちです。社員全員が見て欲しい内容は、メーリングリストで流すなど、ツールの切り分けが肝心です。音声チャットやビデオチャットをしたい時は、迷わずSkypeの出番。
もともと僕がYammerを使い始めたのは、所属しているゲーム開発者向けの翻訳ボランティアグループで導入されたから。メンバーは日本全国に散らばっており、海外メンバーもいるんです。最初はメールやSkypeチャットで連絡を取り合っていましたが、Yammerを使い始めてから、ずっとスムーズになりました。
実はエキサイトレビューの編集会議も、Skypeチャットで行われているんですよね。つまりバーチャル編集部なんです。ただ、過去ログをチェックするのが、けっこう大変だったりします。そこで「ekirebi.net」などで独自ドメインをとり、メールアドレスを発行して、Yammerに移行するといいんじゃないか、なんて思ったり、思わなかったり……。
まあ、一足飛びに在宅勤務なんて言わずとも、最近ちょっと社内の風通しが悪いなあ、なんて感じることがあったら、システム管理者に「Yammerって知ってる?」なんて、そっと耳打ちしてみるといいかも。Web制作のロフトワークスで、詳細な導入レポート記事が紹介されているので、あわせてチェックされるとオススメです。
(小野憲史)