その際、浴室内では意外とダラダラする。物思いにふけったり、はたまた本を読んでみたり……。
だからこそ、8月3日にバンダイより発売されるアイテムが手っ取り早いのだ。角川書店とのコラボで製作されたという『ほっと文庫』は、人気作家の書き下ろし作品1冊と入浴剤1包がセットになった商品。
まさに、「お風呂に入りながら、この本で楽しんでください」と言わんばかりのカップリングではないか。
そこでバンダイに、角川書店とのコラボの経緯を伺ってみた。
「最近、入浴時間を有効に活用する方は多いですよね。お風呂の中で音楽を聴き、本を読む方が増えていると聞いております。当社はそこに注目し、“入浴剤”と“本”をセットにしたものを作ってみたいと考えました」(同社・担当者)
そして、作品を書いてくれた作家陣がスゴいのだ。赤川次郎、あさのあつこ、有川浩、桐生操、西加奈子、森見登美彦といった面々が、この入浴剤のために30ページほどの短編を書き下ろしてくれている。
実は、このページ数にも理由があるという。
「一般的に、半身浴したときの入浴時間は30分。その間で読み切ることができる長さとして、作品を30ページ前後にいたしました」(担当者)
面白いのは、それぞれの作品に「色」と「香り」が必ず登場しているということ。そして当然、同封された入浴剤も同じ「色」と「香り」にしてある。
赤川次郎の『三毛猫はジャスミンの香りがお好き』には、ジャスミンの香りがする白の入浴剤を。有川浩の『ゆず、香る』には、高知県馬路村のゆずの香りがする黄色の入浴剤を同封した。
「入浴中もストーリーの世界観に浸っていただき、お風呂の時間をさらにお楽しみいただきたいです」(担当者)
浸らせていただきましょう! 早速、『ほっと文庫』を取り寄せて半身浴してみました。
今回、利用したのは西加奈子氏の『はつみつ色の』という作品。これは当然、ハチミツの香り漂う入浴剤が同封されている。そんなお風呂に入ってみたい気分だったんです。
まず、湯船に入浴剤を投入してみる。すると、お湯は鮮やかなオレンジ色に。これも、ハチミツをイメージしているのだろうか? そして、香りがも~う、甘い香り! まさに、ハチミツ!! こんな環境の中、小説世界に入り込んでみたいと思います……。
……約30分後。この小説、めっちゃ面白い! 短編だと思って、実はそこまで期待していなかった自分を叱ってやりたい。大人に読んでもらいたい、かなりウィットに富んだストーリーで。
ちなみに、ハチミツの香り理由は……。それは読んでからのお楽しみなのだが、嗅覚からも主人公と同様のシチュエーションを疑似体験させてくれる、そんな入浴剤となっている。“文”と“香り”で、30分間の小旅行に誘ってくれているというか。
それにしても、このシリーズの他の短編も実に読んでみたい! だからこそ、次回の入浴タイムが楽しみで仕方なくなっている自分。あと、残すは5作品か……。
現実的な話をすると半身浴として丁度良い時間内に読了できるし、ある意味入浴剤の革命だと思う。
そんな『ほっと文庫』は、全国のドラッグストア、量販店、スーパーマーケット、一部の書店等で販売される。価格は各399円(税込み)。
「幅広く皆様に使っていただきたいと考えてはおりますが、20~30代の女性が中心になるのかなとは思っています」(担当者)
なるほど。
また、浴室は他に誘惑もないので、読書に没頭させてくれます。
(寺西ジャジューカ)