長らく紙飛行機を作っていない。
しかし、日本には真面目に紙飛行機に取り組む人がいた。
その方は戸田拓夫さん。
彼は2009年、紙飛行機での室内滞空時間の記録に挑戦。米国が持つ27.6秒を塗り替え、27.9秒の新記録を叩き出したギネス記録保持者だ。
さらに宇宙から紙飛行機を帰還させる公開実験を成功させるなど、紙飛行機界で名を轟かす人である。
そんな戸田さんが設立したのが、日本折り紙ヒコーキ協会。
協会に紙ヒコーキについて問い合わせたところ、紙ヒコーキと一口に言ってもさまざまな種類があるそうだ。
いずれも基本は、切らないこと。ノリで貼らないこと。そしてよく飛ぶこと。
では一番飛びやすいのはどんな形なのか。
「翼の広いへそヒコーキですね。飛行距離をのばしたければ細長いイカヒコーキがおすすめ」
これらはいずれも正方形の折り紙でなく、長方形の紙で折る。“スカイキング”と王の名を冠するオリジナルのヒコーキもある。これを使い、戸田さんは新記録を獲得したとか。
さらに、「滞空時間をのばしたいのなら、折るだけでなく折った後の調整が一番大事です」と言うとおり、翼のゆがみの調整や羽を軽く折って風を受ける力を変える微調整が不可欠。
紙ヒコーキには競技大会も存在する。
室内での滞空時間、距離競技、そして的入れ大会など、相当なテクニックが要求される大会だ。
参加者も幅広くメインは小学生だが、はまってしまうのは30代からのお父さん世代。
調整すれば結果がでる。室内で飛ばすか外で飛ばすかで調整方法も変わる。その面白味にはまってしまうとか。
全国大会も2年に一度開催されており、今年はその開催年にあたる。
しかし震災の影響で場所や日時は未定だが、大会に先駆けて予選会が行われ中四国・九州ではすでに終了。
本大会が開催されれば全国の折り紙ヒコーキ猛者が集まり、熱い戦いになりそうである。
ところで紙ヒコーキの魅力とはなにか。
「紙一枚でできる手軽さ。しかし工夫次第でいろいろな形になり、飛び方まで変わる点。模型の飛行機のように簡単には飛ばないけれど、それをいかに飛ばすか考えるのが楽しい」
単純な造りだからこそ、奥深い世界なのだ。
大きさも福山市の紙ヒコーキ博物館には数ミリの紙ヒコーキを、とよまつ紙ヒコーキ・タワーには2メートル50センチのものまで展示されている。
なお8月21日には、上記のとよまつ紙ヒコーキ・タワーにて、JALフェアー&夏の大記録会も開催予定。
現役パイロットを呼んでの航空教室や、屋外滞空時間競技なども予定されているとか。
単純で簡単、一度はまればその魅力にとらわれてしまいそうな、紙ヒコーキ。
ちょっと昔を思い出して、この夏は紙ヒコーキを飛ばしてみませんか。
(のなかなおみ)