ある朝、洗濯機(タテ型全自動洗濯機)を回しながら、それまで何気なく見ていた水量(水位)の表示に、ふと疑問をもった。少ない方から25L、36L、41L、47L。
切りがいい数字でもないし、一定間隔で増えているわけでもない、何とも中途半端な数字の並びだ。家電屋さんに行って他のメーカーの洗濯機も見てみたが、値自体は違うものの、どの機種の水量も切りが悪く、不規則に見えるものばかり。メーカーに聞いてみると、一見すると中途半端なこの数字の並びにも、ちゃんとした根拠があることがわかった。

教えてくれたのは、日立アプライアンスの担当者の方。「数字の多いちょっと複雑な話になるがついてきてください」と言われたので、覚悟して聞くことに。お話いただいた概要は、こうだ。

まず前提として、全自動洗濯機の水量は、洗濯物の量(重さ)で決まる。メーカーや機種によってその数字は異なるが、洗濯物2.4kgなら32.5Lというように、適切な水量が細かく決まっているそうだ。「自動コース」などを選んだ場合、洗濯機が洗濯物の量を自動で計算し、それに必要な水の量を入れる仕組みになっている。

しかしこの水量、当然洗濯物の量が多くなればなるほど増えるのだが、その増え方は倍数のように直線的ではなく、曲線的に増えると言う。つまり、正比例ではないとのことだ。これが一見不規則に見える数字につながるのだが、さらに表示の計算方法も聞いてみた。


すると、表示されている数字は、洗濯物の量に段階的に幅を持たせて算出した、水量の“目安”であるとのこと。例えば、洗濯物1~2kgには20~30L、2~3.5kgには30~42Lの水が必要なのだが、それぞれのおおよその中間値である「25L」と「36L」が表示値となる。なるほど、これがあの数字たちが算出された根拠だったのだ。

これで数字については納得できたのだが、さらに、“直線的ではない”という水量と洗濯物の量の関係についても聞いてみた。すると、「洗濯物の量を横軸に、水量を縦軸にとったグラフにすると、洗濯物の量が多いほど、傾きが滑らかになる曲線を描きます」とのお答え。

“傾きが滑らかになる”ということはつまり、洗濯物の量あたりの水量は洗濯物が増えるほど減っていくということ。日常生活で考えると、少ない洗濯物の量で何度も洗濯するより、ある程度まとまった量を一度に片付けてしまう方が、節水に効果があるということだ。もちろん洗濯機の使用時間が減るので、節電にもつながる。夏に引き続き冬も節電が必要となりそうな今年、これは聞き逃せない情報だ。

水量について調べていたら、こんな主婦にとってお得な情報まで知ることができてしまった。地球にも家計にも優しい家事、心がけていきたいですね。
(ミドリ)
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