映画「E.T.」をはじめて見たとき、ストーリーの素晴らしさよりも気になってしかたがなかったことがある。

なんでみんな、仮装してるの?

今ならわかるんです。
ハロウィンだからですよね。むしろあの映画は“ハロウィンの仮装”があってこそ成り立つ映画なのだ、と気づいたのは大人になって日本でもハロウィンが身近になってから。自分が子どもの頃にあまり普及していなかったからか、「ハロウィンてそもそも何なの?」っていう基本的な部分からわからないことだらけ。皆さんは知ってますか?

ハロウィンの由来は古代ケルト人の秋の収穫感謝祭で、それが他の民族にも浸透していったとされています。また古代ケルト人の1年の終わりが10月31日であるため、死者の霊が訪ねてきたり悪霊が出てくると信じられていたのだそうです(日本のお盆みたいな感じですね)。ここから身を守るために仮面を被って仮装したり、魔除けのたき火をしたりしているんだとか(これも、お盆の送り火みたいなもんですね)。

こんなエピソードをもっとちゃんと学びたい! と書店に行くとハロウィン関連コーナーが出来ていて絵本がわんさか。子どもに「ハロウィンってどういうこと?」と聞かれてもスラスラ答えられるように、むしろこれは大人こそ読まなければいけないんじゃないでしょうか。そこで大人代表として色々絵本を読んでみて“これは大人が読んでも面白いかも”という絵本を見つけました。それが『ハロウィンドキドキおばけの日!』
なぜオススメなのか、ポイントを整理して見ていきましょう。

<オススメポイント1:実用的>
物語に平行してシーツやゴミ袋を利用する「仮装おばけのつくりかた」、「ジャックオーランタンのつくりかた」が図解で説明されていてわかりやすい!
ちなみにハロウィンの代名詞とも言えるこの「ジャックオーランタン」とは「ジャックの提灯」の意味。ケチで人をだましてばかりいた鍛冶屋のジャックが死後、天国には当然行けず、さらには悪魔をだましたことで地獄にも行けなくなり、地獄の石炭をカブに入れ提灯代わりにしてさまよう姿を描いたアイルランドの昔話に由来しています。
ここから「ジャックオーランタン」が死者の魂のシンボルとなり、さらにはこのお話がアメリカに渡り、カブよりもポピュラーなカボチャにとって変わったまま現代に受け継がれているのだそうです。

<オススメポイント2:うんちくが細かい>
「ハロウィンの迷信とおまじない」というコーナーではハロウィンにまつわる8つのうんちくが紹介されています。
10月31日生まれはいかに幸運か、というお話もいくつか紹介されているので、ハロウィン生まれの人が思わず羨ましくなることでしょう。

<オススメポイント3:恋愛もおまかせ>
ハロウィンと恋愛?とお思いかと思いますが、ここで主役になってくるのは“かぼちゃ”ではなく“リンゴ”。リンゴを使ったいろんな恋愛のおまじないが紹介されています。
先ほどちょっと説明しましたがハロウィンの起源は収穫祭。収穫のシンボルとしてリンゴもハロウィンでは欠かせない果物なんだとか。

<オススメポイント4:レシピもおかませ>
「血まみれホットドッグ」「吸血鬼パンチ」「悪魔のたまご」「クモの巣マッシュポテト」etc.
これ全部この絵本で紹介されている料理名です。気になるでしょ?作りたくなるでしょ? 手近な材料ばかりなんで、もう今からじゃ来週のハロウィンに間に合わないよ。と思っている方にオススメです。

とまあ、読んでるだけじゃ物足りないので料理やランタンを実際にいろいろつくってみました。
まずは「血まみれホットドッグ」から。
ホットドッグをつくってケチャップでペイントするだけなのでとってもカンタン! お子さんと一緒にいろんな顔のお化けをつくって食べちゃいましょう!
そしてお腹がふくれたら真打ち「ジャックオーランタン」づくり。自分の顔よりも大きなかぼちゃが手に入るとテンションもぐいぐい上がってきます。ちなみに私はネットで買いましたが、ホームセンターやお花屋で扱ってる場合もあると思います。

<つくりかた>
0)材料を準備する
※かぼちゃ/クレヨンor油性ペン/段ボールカッター(もしくは果物ナイフ)/大きめのスプーン/ろうそく

1)かぼちゃに顔を描く。
※自信のあるひとは複雑な表情にチャレンジ! 不器用な方でも大丈夫!△だけの構成でも結構さまになりますよ。

2)かぼちゃの上か下を切り抜く。
※『ハロウィンドキドキおばけの日!』では上を切り抜いてふたにするつくり方が紹介されていますが、仕上がりの見栄えを重視するなら底を切り抜くのがいいかもしれません。

3)かぼちゃの中身を大きめのスプーンでくり抜く。
※汚れるのが気にならないなら手でかき出すのもOK。スプーンと手を使い分けたほうが効率もよくキレイに仕上がると思います。ちなみにこの時、1)で描いたかぼちゃの表情をあまり見ないように注意。目・鼻・口が書いてる頭サイズの丸いものから中身を取り出すって、まるで脳み… そんな想像を一瞬でもしてしまうと寝付きが悪くなりますよ。


4)下書きしたラインにそって目、鼻、口を切り抜く。
※刃物をつかっての作業なのでケガをしないように注意。お子さんは必ず大人の人と一緒にやってね。多少失敗しても気にしないで切り抜くべし。あと、かぼちゃの中身をくり抜くときや切り抜き作業をする際は新聞紙かビニールシートの上で作業することをオススメします。カボチャの汁って意外と落ちにくいです。

5)ろうそくをセットして完成!
※LEDタイプの炎型照明も売っていますので、お子さんのいるご家庭はろうそくよりもそちらがオススメ。

ちなみにこのオレンジ色の巨大カボチャ、ペポ種と言われる品種で食用じゃないのが残念なところ。食べたら死ぬということではなく渋みが強いらしいです。でも、せっかくなら中身も食べつつ、ランタンもつくりたいですよね。それに今からじゃ巨大かぼちゃは手に入らない、という方もいるはず。そこでちょっと邪道ですが、普通のかぼちゃでのランタンづくりにもチャレンジしてみました。
行程としては上記のつくりかたの前段階に「レンジてチンする」を加えるだけ。こうすれば食用の堅いかぼちゃの皮にもスッとカッターの刃が入るはずです。

そうそう、置き場所には気を使いましょう。せっかくつくったから目立つところに。と玄関先なんかに飾りがちですが、置いたことを忘れたまま夜中に帰宅して、玄関を開けたらこの顔が待ち構えていて「ふぇぎゃーっ」とか変な悲鳴をあげてしまったことは恥ずかしいから内緒です。

このかぼちゃランタン、くりぬいてしまうと寿命は3~4日ほど。結構愛着がわいてきたところでお別れしなくちゃならないのが悲しい運命。
「E.T」の中で<このまま僕と暮そう。君を守ってあげる、一緒に大きくなろう>というエリオット少年のセリフと、最終的には離ればなれになる二人のことを思い出しちゃいました。そっか、「E.T.」って異世界の存在と最も近くなる日、というハロウィンの意味も含まれていたんだ!と今さらながらに気づきました。(オグマナオト)
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