「じつはニースに初めてレストランを出店した2年後ぐらいに書いた企画書が『カフェ ニース・マタン』でした。ニースの食文化を日本で伝えるカフェを作りたいという、14年越しの企画がようやく実現します」(シェフ・松嶋啓介)

3月19日、東京・原宿にあるフランス料理レストラン「KEISUKE MATSUSHIMA」の一角にカフェ・ビストロ「Cafe NiCE MATiN」(カフェ ニース・マタン)」がオープンする。
オーナーである松嶋シェフは2006年に仏版ミシュランで外国人シェフとしては最年少で一つ星を獲得(以降、10年連続で星を獲得し続けている)。現在は南仏・ニースと日本にレストランを構え、2010年にはミシュラン日本版でも一つ星を獲得。また、同年7月にはフランス政府から日本人として初めて、かつ最年少での「フランス芸術文化勲章」を授与された。

そんな華々しい経歴を持つシェフがなぜ今、カフェ・ビストロを手がけるのか。オープンに先立ち開催されたレセプションの席で、松嶋シェフはこう語っている。

「フランス文化を知るきっかけになるような店をつくりたいというのがいちばんの理由です。
ここ10年ぐらいを振り返ってみると、フランスにおける日本人シェフの地位はだいぶ変わってきたし、同時に日本にもフランスに負けないようなレストランがいっぱいできてきたと思うんです。でも、ふっと足元を見て見ると、フランス料理の入り口になるようなお店は逆に減っているなと」

松嶋シェフが考えるカフェ ニース・マタンの理想像は「ジーパンにスニーカーで気さくにおいしいものを楽しみながら、大笑いできるような店」。店内には、松嶋シェフがフランスから持ち帰った絵画や、ニースの歴史を感じる写真などを展示。珍しいフランス野菜などをふんだんにとりいれたニースの家庭料理や南仏ワインが楽しめる。
日本人最年少ミシュラン一ツ星獲得シェフが今、カフェビストロを手がける理由
レセプションに登場した「子羊のグリル」。黒オリーブとケッパー、アンチョビをつぶして混ぜたソースもニース風。

日本人最年少ミシュラン一ツ星獲得シェフが今、カフェビストロを手がける理由
「ニース風サラダ」。このほか帆立のポワレ、かぶのファルシなど、いずれもニースで定番の家庭料理だそう。

「デザートもう食べました? "大人のクレープ"がおすすめなんですよ」と松嶋シェフに勧められて食べたクレープがまたおいしい。人目がなければ、あと3つぐらい口の中に放り込みたかったほど。
ほろ苦さがやみつきになる。
日本人最年少ミシュラン一ツ星獲得シェフが今、カフェビストロを手がける理由
目移りが止まらなくなるデザートプレート。シェフイチオシの“大人のクレープ”はいちばん手前の左端

「ニース・マタン」という名前は、ニースの日刊紙に由来。「i」が小文字なのは「インフォーメーション」という意味が込められている。
(島影真奈美)

Cafe Nice Matin(カフェ ニース・マタン)■営業時間:11時〜21時(ランチ11時半〜14時/席数:テーブル12卓24席・カウンター3卓6席・テラス席3卓6席/価格帯:アラカルト15時〜)。ランチ(ランチプレート)は1200円〜、ディナー(アラカルト)は600円〜3000円。グラスワイン800円〜/東京都渋谷区神宮1-4-20パークコート神宮前1F(03-5772-2091)