こうしてコネタで文章を書かせていただき、読者の皆様に読んでいただけることは、ライターとしてこの上ない喜びである。が、時に厳しいご批判の声や感想を目の当たりにすると、これがまたなかなかにヘコんでしまう(いや…。あの…。そういう感想を読者の皆様から頂戴してしまうような文章を書いてしまった自分に、当然責任があるのですが……)。
そんな筆者の性格が遺伝したのか、3歳になる筆者の娘も打たれ弱い一面を見せつつある。ちょっとキツめに注意をすると、泣くわ、わめくわ……。まだ3歳であるがゆえに仕方が無いとは思いつつも、親としてはもう少し強くなってほしいとも思う。
そして……。気のせいだとは思うのですが……。この世に生を受けてまだ半年足らずの長男も、なんだか打たれ弱い気がするのです。
生後半年の長男は、当然ながらまだ言葉は発しない。「あー」だの「うー」だのといった、いわゆる「喃語」(なんご)を口にするだけだ。まだ言語は獲得しておらず、ということは、親の発する言語を聞いても、その内容を理解することはできないと考えられる。
「大豆みたいな顔して」と、赤ちゃん長男に話しかけてみる。表情は変わらない。まあ、そりゃそうか。以前に、悪口めいたことを言ってみたところ泣いてしまったのは、やはりたまたまだっただけか。まあでも、念のため再確認ということで……。
「赤ちゃんは泣くのが仕事と聞きますが、今日はアレですか。定休日ですか」と、イヤらしい感じで話しかけてみる。すると。フェッ、フェッ、フェッ。うわ! 泣きそうだ! 赤ちゃん長男、思い切りしかめ面をして、今にも泣きそうだ! ウエーン! 泣いた!
こんな小さな小さな赤ちゃんに、悪口を投げかけるなど変態のすることである。一歩間違うと犯罪かもしれない。お縄頂戴。それはイヤだ。ゴメンよ、赤ちゃん長男。仕事とはいえ、もし本当に君をキズつけてしまったとしたら、お父さんとしてももう耐えられないよ。もう……。
「お父さんの夕食はカツカレーだけど、君の夕食は自分の足だね」と、仰向けのままで自らの足を抱えて口にくわえようとしていた赤ちゃん長男に、ことさらにイヤミっぽく話してみる。
「個人差はありますが、早い赤ちゃんだと生後六カ月すぎ頃から、言葉を理解できると考えられています。また、出産直後の赤ちゃんも、親御さんの言葉に対して手を動かす“エントレインメント”と呼ばれる反応を見せることが、実験で証明されています」とは、赤ちゃん長男が妻のお腹にいる頃からお世話になっている助産師さんの話。そして……。
「言葉の具体的な中身まではもちろん理解できていないはずですが、話す口調や雰囲気を赤ちゃんは感じ取ることができます。お父さんのネチネチとした偏執的なイヤミ口調を感じ取って、ご子息は泣かれたのではないでしょうか」と助産師さんは見解を示してくれた。
なるほど。父が何か気に障ることをいっているのは、赤ちゃん長男にも伝わっていたということか。ごめんなさい。ホント、どうかしてました。すみません。もうしません。
(木村吉貴/studio woofoo)