正月気分もそろそろ抜けいよいよ新年本格始動ですね。それはプロ野球選手とて同じ。
この季節スポーツニュースで選手が自主トレに入ったというようなニュースを耳にしますよね。

でも自主トレって何をするの? 知ってるようで意外と知らない。じゃあ聞いてみよう、ということで槇原投手や水野投手に始まり、17年以上にわたりジャイアンツの選手の自主トレのコーディネーターを務めていらっしゃるグアム在住の川内康則さんにプロ野球選手の自主トレについて尋ねてみました。

―― プロ野球の自主トレはどの時期に行われるのですか?
「各チーム2月1日からキャンプインするので、それに合わせて自主トレでコンディションをあげていくんです。だから基本的には正月明けから1月の末までですね」

―― 自主トレの行き先はどうやって決めるのですか?
「選手には二つのタイプの人がいるんです。ひとつは暖かくて体の動きやすいところで自主トレがしたいという選手で、もうひとつは寒くても日本で徐々に馴らしながら体を作っていきたいというタイプです。自分のタイプに合わせて行き先を決めるようです」

―― たとえばどういう場所にいくんですか?
「代表的なのはグアム、ハワイ、オーストラリアあたりです。国内の場合はまちまちですね」

―― 合同自主トレということを聞くことがありますが、自主トレは何人くらいでするんでしょう?
「国内の場合は、1〜2人が多いと思いますが、グアムにはグループでくるチームが多いです。ジャイアンツの場合でいうと投手班と野手班がそれぞれ選手6人、トレーナー、専属調理師、ヘルパーの9名できますね。ホークスやドラゴンズもそれくらいの規模で来ています」

――えっ、専属調理師までつれていくんですか!?
「はい。彼らはプロですから相当体には気を使っています。自主トレですから費用は選手が負担しているのですが、きちんと投資しなければプロとしてのリターンが得られないという意識の高さは本当にすごいですよ」

―― なるほど。
自主トレといえでも真剣勝負なんですね。それでは練習もかなりキツイんですかね?

「ジャイアンツの選手は三日練習して一日休むスケジュールを組んでいますが、練習は相当ハードです。8時半に宿泊しているホテルを出て練習場まで約3kmの道のりをジョギングして、9時から12時までは球場で練習です」

「シーズン中はなにかと忙しいですしコーチもいるので若手が先輩からゆっくりと技術指導を受ける機会ってあまりないんです。でも自主トレ中は色々なことを直接伝授してもらえるので、若手にとってはとてもいい機会なんです」

「その後、走りこみをして昼食をとります。午後はウェイトトレーニングをしたり、砂浜でのダッシュをしたり、ゴルフをしたりとバラエティーをつけた練習をしています」

―― ほう。かなりみっちり練習するんですね。ではオフの時は何をしているんでしょう?
「オフの時はゴルフをしたり飲んだりと、先輩と若手で交流することが多いですね。普段はなかなかできないですから。あとは受け入れ先との交流も積極的にしています」

―― 地元との交流というと?
「グアムの場合は歴史も長いのでかなり色々しています。これまで野球ボールを何千球も寄付していますし、地元のリトルリーグで野球教室を開いたりしています。在グアム日本人学校の訪問もしますね。先日も震災のためのチャリティー募金のイベントを開催しました」

――それでは自主トレといっても随分と忙しいんですね?
「彼らのプロ意識はとても高いですね。
どんなことがあってもやりきるという姿勢は本当に驚きます」

陰にたゆまぬ努力あっての素晴らしいパフォーマンスなんですね。私たちにとっては開幕は待ち遠しいですが、選手たちの真剣勝負はもう始まっているんです!
(鶴賀太郎)
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