コンビニやスーパーでレジ待ちをしていると、まれに、前に並んでいる人が、ポケットから小銭を出して支払いをする場面に出くわす。

財布ではなく、ポケットからダイレクトに小銭がでてくるところが、なんともいえずワイルドで、かっこいいと思う一方、「ポケットに穴があいて小銭が無くなったりしないのかな」とか「ポケットの中がお金くさくならないのかな」など、無駄な心配もしてしまう。
今回は、この「小銭がポケットからでてくる」という現象について、考えてみる。

そもそも、小銭をポケットに入れているというのは、どういう理由によるものなのだろうか? 実際に小銭をポケットに入れている、筆者の知人いわく、「そもそも、カバンを持つほど荷物を持ち歩かないので、財布はポケットに入れているんだけど、小銭を財布に入れると、財布の型が崩れていやなので、ポケットに入れている」とのこと。

もともと、男性は女性に比べて荷物が少ないため、ちょっとした買い物の際にカバンを持たない人が多い。その場合、財布はズボンやジャケットのポケットに入れることになるのだが、男性用財布に多い、二つ折りのタイプの場合、小銭を入れるスペースが少なく、少し小銭を入れるだけで財布が分厚くなり、ポケットに入れづらくなるとともに、型くずれしやすくなる。

小銭を財布に入れない理由として、筆者知人の場合は「財布の型が崩れるから」という理由を挙げてくれたが、ヤフー知恵袋をはじめとする各種質問サイトにおける「なんで小銭をポケットに入れてるの?」的な質問について調べたところ、「普段の支払いで、小銭をほとんど使わないので、おつりで小銭を貰った場合にポケットに入れざるを得ない」「そもそも、財布を持つ必要性を感じないので、持っていない」といった、ワイルドさあふれる意見が見られた。

ちなみに、「小銭をポケットに入れる」の代表的な人物としては、2005年に靖国神社を参拝した際、お賽銭をポケットから取り出して参拝し、民主党の前原代表(当時)から批判された、小泉元首相が挙げられる。たまたまかもしれませんが。

そんなワイルドな、小銭をポケットに入れる人々だが、その人口は実際にはどれくらいなのだろうか? KDDIが今年1月に行った「かばんの中身に関する調査」によると、20〜40代の男性会社員のうち、8.0%が「手ぶらで通勤している」という結果が得られている。通勤時は普段よりも持ち物が多い可能性が高いにせよ、「小銭をポケットに入れる人はカバンを持っていない」と仮定すると、小銭をポケットに入れる人の人数は、非常に限られているものと推測される。

昔は、小銭をポケットに入れる人々は、もっと普通に見られたようなのだが、最近は減少傾向にあるらしい。その理由として考えられるのは、携帯電話、クレジットカードなどのカード類、携帯ゲーム機、iPodなどなど、男性が持ち歩くアイテムの数が増えてきているということ。 一方で、先に紹介した「かばんの中身に関する調査」によると、20〜40代会社員の61.3%が、「通勤を手ぶらでしたい」と考えているらしい。
これは、荷物をできるだけ最小限にしたいという欲求の現れであり、「できることなら財布すら持ち歩きたくない(つまり、小銭をポケットに入れたい)」という潜在的欲求が非常に高いことを示しているとも考えられる。同調査によると、スマートフォンの登場により、手帳などの荷物が減る可能性があるようであり、今後もしかしたら「小銭をポケット」人口が再び増加することもありえるのではないだろうか。

ちなみに筆者の場合、財布、ケータイ、家の鍵に加えて、ノートパソコン、ニンテンドーDS、ゲームボーイアドバンス、文庫本(主に伊坂幸太郎)、ノートとペン(本コラムのネタをストックするため)、歯ブラシ(知人宅に宿泊した時に便利)、名刺入れ(飛び込みで取材依頼するときに必要)、リップクリーム(乾燥肌なので)、うちわなどを常に持ち歩いており、小銭にポケットどころかリュックサックにウエストポーチを装備する、ワイルドさからはほど遠い状態なのであった。
(エクソシスト太郎)
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