不敗神話を誇る敏腕弁護士・古美門研介の活躍を描いたこのドラマは、第8話が放送された週には今期の連続ドラマの中で視聴率3位にまで上昇を見せた。
いい意味で調子に乗り始めたこのドラマの魅力はどこにあるのか?
脚本×演出×俳優 三位一体、鉄壁な作りと言ってしまえばカンタンだ。だが、弁護士の象徴である天秤のようにカンペキなバランスでもって描く世界は、
むしろアンバランス。
そう、古美門のトレードマークである髪型の「8:2分け」のようにアンバランスな世界を描いているところにヤラレルのだ。
その端緒は第1話の終盤にまず現れた。
「やっていようがやっていまいがそんなのは私には関係ないし何の興味もない。検察側の証拠が不十分だった。だから彼は無罪になった」
この古美門の台詞にはドッキリ。
殺人罪にまつわる丁々発止の法廷劇を展開した後、ついに無罪を勝ち取った容疑者が実は有罪だったのではないか?という不安感を、脚本家・古沢良太はプラスした。
さらにはこうだ。
「我々は神ではない、ただの弁護士だ。真実が何かなんか分かる筈がない」
シビレル。
任務遂行と報酬へのこだわりと、早口で自論をまくしたてる様子と周囲への毒舌とわがままと、さらに髪型の自己主張がとっても暑苦しい。そんなおもしろキャラを8割として、残り2割が、実はクール&ドライというのが古美門研介だ。
この役を堺雅人が怪演している。この役は俳優・堺の特性を余すところなく発揮した、現時点での最高傑作キャラと言っていいと思う。