朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第17週「1983-1984」

第79回〈2月22日(火)放送 作:藤本有紀、演出:安達もじり〉

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第79回 口調も態度も算太そのものの振付師が登場 はたしてその正体は?
写真提供/NHK

※本文にネタバレを含みます

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「夏の終わりにひなたは自分の進むべき道をみつけました」(ナレーション:城田優)

夏、陽炎越しの少年たち。宿題が終わらないひなた(川栄李奈)一恵(三浦透子)小夜子(新川優愛)に手伝ってもらっているところ、宿題のせいで最後の最後に映画村のバイトに行けなかったことは少女時代と同じ(あの頃はラジオ体操)。
何も変わってないようで、ひなたは少しだけ変わっていく。

【レビュー一覧】朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜79回掲載中)

バイト料を届けに来た虚無蔵(松重豊)に「楽しかったです、映画村のアルバイト。映画村も時代劇も前よりももっともっと好きになりました」と語りかけたひなたは翌年4月、条映映画村に就職する。

1984年4月、朝ドラは映画に関わった人たちの物語『ロマンス』がはじまった。ひなたの人生が朝ドラとシンクロするところが妙味。朝ドラ絶対王者『おしん』(83年)の次の『ロマンス』の題材が映画だったという偶然を発見した作家は小躍りしたに違いない。


だがここで注目したいのは、『ロマンス』を観ている大月家の食卓。納豆を食べているのだ。関西では納豆はあまり好まれないとされるがあえて食卓に納豆を乗せるとは……と思ったが、納豆の発祥地は京都で、関西とひとくくりに言っても納豆に対する感覚は地域で細分化されている。そういえば筆者の祖父母は滋賀と京都出身だが当たり前に納豆を食べていた。今日の大月家のおかずに子どもの頃を思い出した。

さて、映画村で働き始めたひなた。
「おしずかに」と書かれた扇子をもって撮影風景を見学しているお客さんにおしゃべりしないようにお願いするお仕事は、実際に東映太秦映画村で行われていることだ。「おしずかに」とスタッフが声を出すのもはばかられるから扇子を使う。いいアイデアである。でもひなたは「おしずかに」と声を出してたしなめられていた。

謎の振付師、登場。どう考えてもあの人

すみれ(安達祐実)はショーに出るようになり、五十嵐(本郷奏多)は映画村の扮装バイトをしながら虚無蔵に稽古をつけてもらっている。
皆、それぞれの道を進んでいる。

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第79回 口調も態度も算太そのものの振付師が登場 はたしてその正体は?
写真提供/NHK

上司になった榊原(平埜生成)に頼まれて打ち合わせ室にお茶を出しにいったひなたはモモケン(尾上菊之助)と再会する。彼はひなたの「大月」という苗字に「回転焼きの?」とすぐに気づく。いまだに差し入れに購入してくれていると言うからひなたは大喜び。はじめて彼が買いに来た日に桃太郎が生まれたことも彼は覚えていた。



朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第79回 口調も態度も算太そのものの振付師が登場 はたしてその正体は?
写真提供/NHK

モモケンと榊原が打ち合わせていたのは映画村のCM撮影のためだった。
撮影の日、モモケンは頬にほくろを描く。ほくろをつけることで先代との差別化をしていたのだろうか。ほくろを描く菊之助さんの表情が凛として美しい。

撮影していると、「いっこもおもろうないわ」と謎の老人(濱田岳)が口を出す。クレジットでは「謎の振付師」で「だんごちゃん(モモケンのこと)の親友じゃ」とも言っていて、その口調とか態度が算太そのもの。外見はなかなか洒落た老人になっていて、CMの振り付けもしてしまう。
もしかして知る人ぞ知る大物になったのだろうか。気になる。
(木俣冬)

『カムカムエヴリバディ』をさらに楽しむために♪







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番組情報

連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ

2021年11月1日(月)~

<毎週月曜~土曜>
●総合 午前8時00分~8時15分
●BSプレミアム・BS4K 午前7時30分~7時45分
●総合 午後0時45分~1時00分(再放送)
※土曜は一週間の振り返り
<毎週月曜~金曜>
●BSプレミアム・BS4K 午後11時00分~11時15分(再放送)
<毎週土曜>
●BSプレミアム・BS4K 午前9時45分~11時00分(再放送)
※(月)~(金)を一挙放送
<毎週日曜>
●総合 午前11時00分~11時15分
●BS4K 午前8時45分~9時00分
※土曜の再放送

制作統括:堀之内礼二郎 櫻井賢
:藤本有紀
プロデューサー:葛西勇也 橋本果奈 齋藤明日香
演出:安達もじり 橋爪紳一朗 深川貴志 松岡一史
音楽:金子隆博
主演:上白石萌音 深津絵里 川栄李奈
語り:城田優
主題歌:AI「アルデバラン」


Writer

木俣冬


取材、インタビュー、評論を中心に活動。ノベライズも手がける。主な著書『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズルポルタージュ』、構成した本『蜷川幸雄 身体的物語論』『庵野秀明のフタリシバイ』、インタビュー担当した『斎藤工 写真集JORNEY』など。ヤフーニュース個人オーサー。

関連サイト
@kamitonami