朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第14週「1965-1976」

第67回〈2月4日(金)放送 作:藤本有紀、演出:二見大輔〉

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』錠一郎の中に音楽は生き続け、ラジオからはあの曲が聞こえてくる
写真提供/NHK

※本文にネタバレを含みます

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ひなた、恋をする?

モモケン(尾上菊之助)のサイン会に出かけたひなた(新津ちせ)はその帰り、少年(幸本澄樹)に英語で話しかけられる。ひなたはしどろもどろだが、小夜子(竹野谷咲)は英語を話すことができた。

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がぜん英語に興味を持つひなた。英語教室に行きたいが、サイン会の1500円も捻出するのも一苦労の大月家だから習い事は難しい。

ところが、「おとうちゃんに任せとき」と無職の錠一郎(オダギリジョー)が自信満々に言う。彼の作戦は福引で景品を当て、それを売ってお金にしようとすることだった。るい(深津絵里)が意外とギャンブラーと一子(市川実日子)に言われていたが錠一郎も同じく。ところで一等賞の熱海旅行はオダギリジョーの主演ドラマ『熱海の捜査官』に掛けているのだろうか。

けっきょく、ひなたは瓶集めを続けるが、高価な瓶を吉之丞(石坂大志)と取り合って負傷してしまう。貧しいながらも楽しい大月家というほのぼのムードだったのに突如、暗闇ムードへ? あまりほのぼのムードが続きすぎるとだれてしまうので、ちょっとアクセントをつけるのは仕方ないことだろう。とはいえ、るいの額のケガをリフレインするなんて……とひやひやさせるとはまったくお人が悪い。

けっきょく、ケガは大したことなかった。この手のドッキリパターンは朝ドラによくあって、でも狙いが見えすぎて白けてしまいがち。ところが『カムカム』ではそれでは終わらない。やはりベテラン作家は違う。

風呂上がり、るいはひなたの負傷をきっかけに自分の額の傷を鏡で見て思いに耽る。ひなたがその傷を「おかあちゃんのこれ『旗本退屈男』みたいでかっこええなあ」と無邪気に言う。かつてるいがあんなに他人の目を気にして傷を隠してきたというのに、ひなたにはそれが勲章のように見えている。母親に気を遣っているわけではなくて本気でそう思っているのだろう。

るいもるいで、愛する夫とかわいい娘と3人でつつましく幸福な家庭を築いている今、傷はそんなに気にならなくなっているのだろう。物理的な傷と心の傷が重なって、どちらも薄らいでいる。


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