夏の風物詩である、ラジオ体操。今年の夏休みも、全国の広場であの体操風景が見られることであろう。


小学生の夏休み以来、ラジオ体操からは遠ざかっていた筆者であったが、先日、友人と泊まりがけの旅行に行った際、なぜか「ラジオ体操第一」を着うた保存している友人がおり、朝にラジオ体操をやってみたところ、予想外に疲れ、おどろいた。

小学生の頃は、全然疲れなかったどころか、筆者が所属していた子供会においては、「ラジオ体操後に公園を一周走る」という暗黙のローカルルールが存在していたくらいである。体力の衰えをひしひしと感じる一方で、ラジオ体操が「体操」であることを実感したのだが、実際、ラジオ体操をまじめにやると、どれくらいのカロリーを消費するのだろうか?

ラジオ体操の普及に努める、NPO法人全国ラジオ体操連盟ホームページには、ウォーキングなどの運動とラジオ体操の消費カロリーの比較が掲載されている。これによると、ラジオ体操は、速いペース(毎分90〜100メートル、15分で57キロカロリーを消費)でウォーキングを行ったときと、同じ程度のカロリーを消費する運動であるらしい。ラジオ体操は第一、第二合わせて6分ちょっとであるので、その消費カロリーは、23キロカロリー程度であると思われる。

カロリー的にもなかなかのものだが、ラジオ体操は、「十三種類の運動によって全身を動かし、ふだんの生活では使用しない筋肉や関節、骨に影響を与える」ものであるとのことであり、特に大人になり、普段歩いたりパソコンを打ったりするくらいの運動しかしない現代サラリーマンの場合、疲労感が全身にわたるものと思われる。旅行中にラジオ体操をした知人は、翌日、軽い筋肉痛になったらしい。

そんな、意外とハードなラジオ体操を、毎日継続して行うと、どんな効果が期待できるのだろうか? 平成21年に神奈川県立保健福祉大学健康サポート研究会によって調査によると、ラジオ体操を継続して実施している60歳以上の人々は、平均的な同世代の人々と比べて、以下のような傾向があるそうである。

・お腹周りが平均より5センチほど小さい
・歩行能力と筋力に優れる、特に、ジグザグ歩行、握力に優れる

つまり、ラジオ体操を継続することで、くびれのあるセクシーな高齢者になれる可能性がある。

また、ワニに襲われたときの対処法として、「ジグザグに逃げる(ワニは急な方向転換ができないから)」というものがあるのだが、ラジオ体操を継続することで、ワニに襲われた時の生存確率も、向上すると思われる。

ラジオ体操の効果は、身体的な側面にとどまらない。平成21年に(財)統計研究会が実施した「ラジオ体操・みんなの体操とコミュニティの形成についての調査研究」によると、ラジオ体操の効果として「仲間との交流」をあげる人が回答者の48.6%あり、「ラジオ体操会の活動からの広がりとして、山登りやハイキング、忘年会といったイベント性の高い活動から、町内のパトロールといった非営利活動まで幅広く活動が展開されていることが確認された」のだそうだ。


筆者もそういえば、ラジオ体操が終わった後、そのまま友達としばらく遊んでいたり、さらには友達の家までおしかけて朝ご飯をごちそうになったりなど、多少迷惑も甚だしいが、ラジオ体操をきっかけとした友達との交流もたくさんあったように思われる。

今年5月のニュースにあったが、1995年に発売された「NHKラジオ体操」の音源CDが、細く長く売れ続けており、18.2万枚の売り上げになっている可能性があるのだとか。ラジオ体操って、色んな意味で、すごそうである。
(エクソシスト太郎)
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