巨神兵 宮崎駿
監督 樋口真嗣
どーん!
破壊力のあるクレジットのあとに続く約9分間。
スタジオジブリ最新特撮短編映画「巨神兵東京に現わる」である。
凄かった!
「風の谷のナウシカ」に登場した巨神兵が、実写特撮映画として甦る。しかも、企画はヱヴァンゲリヲンの庵野秀明。監督は「ガメラ 大怪獣空中決戦」特撮監督の樋口真嗣。
さらに、「言葉」は舞城王太郎が担当なんっつー情報も入ってくる。
そして、巨神兵:宮崎駿ってクレジットだから、宮崎駿が巨神兵を演じるの!?(←そんなことはないです)
と、観る前から期待値はマックス。
そして、マックスにまで膨れ上がったこちらの期待値を超えましたよ、これは!!!!!!
ちりちりちりちと東京に現れる予兆、そして東京上空に現れ、滞空する巨神兵の不気味な映像から、猛スピード。
巨神兵、東京を破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊、壊滅!
巨神兵の口から出る、あの独特のビーム!
溶けながらふっとぶビル!
将棋倒しのように連続巻き上げの爆発ドンドンドンドンドンドンドン!
あのスタジオジブリ作品の最初に出てくるトトロの横顔のほんわかムードのイラストが、ふっとんでしまう破壊美と壊滅美。
なぜ、この徹底した破壊を観て、人は、ああああああ!と心の中で叫んでしまうのだろう。
あっという間の9分3秒が終わっても、この作品は終わらないのだ。
短編特撮映画「巨神兵東京に現わる」が上映されるのは、7月10日より開催される「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」の会場。
うはーすごかったーという感慨を胸に、「特撮博物館」の通路を進むと、さっき映画の中で観た壊滅状態の東京ミニチュアが眼下に! 少し落ち着いていたアドレナリンが再噴出。
しかも、ぐるっと順路を歩いていくと、庵野秀明によるラフコンテがある。
さらに、15分強のメイキングビデオを堪能。
どのような仕組みで撮影されたかが詳しくわかるうえに、ビル爆破の撮影が成功したときの樋口監督を初めとしたスタッフの嬉しそうな表情が、楽しい。
しかも、あ、あそこも、特撮だったのか! 発泡スチロールの粉を風で舞わせていたのか! ふはー、CGじゃないんだ! などなど、驚きの連続だ。
もう大満足!
って言っている場合ではない。
ずずいと進むと、さっき眼下に観た特撮スタジオ・ミニチュアステージ!
ものすごく緻密に作られた東京の町のジオラマ。ここに侵入できるのだ。わーはー、こんな小さいのに布団ちゃんと留めて干してるよ!なんて驚きながらぐるっと裏側に回ると、裏側はすっからかんで、そうか映らないところは作らないでいいのか、と緻密さとのギャップに驚きながら進むと、崩壊した東京タワー。
そう、言い忘れてた。ここには、友達と一緒に来るべきです。
写真撮影OKなのです。
巨人となって、崩壊した東京の町に立つあなたの写真を撮ることが可能。
ちくちくと精密に作られた個人の部屋から覗き観た街並みの中ににょきりと現れる巨大俺の写真撮影もできちゃう。
さっき観た巨神兵に、あなたがなれるのです!
映画×メイキング×展示で、めちゃくちゃ立体的で濃いモノになってます。
って、実は「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」は、いま紹介した「巨神兵東京に現わる」に関する展示だけじゃありませぬ。
「モスラ」「海底軍艦」「ウルトラマン」などなど、特撮映画に関する展示が、すごい密度とパワーで! こちらも、すごいモノどっさり&情熱と工夫で、見応えあり。
博物館全体の紹介は、「グランドジャンプ」8月1日発売号の「オススメ!たこつぼ教養百科」でイラストつきで紹介。こちらもよろしく!(米光一成)