さて、“食欲の秋”と言えばどんな食べ物を思い浮かべますか? きっと「秋刀魚」とか「松茸」いった声が多く挙がるだろうけど、私は熱烈に「焼き芋」をレコメンドしたいのです。屋台で購入すれば、そこからはもう究極のファストフード。歩きながら食べてもいいし、家に帰ってテレビを観ながらまったり食べるのもいい。もはや、グランドスラムの領域!
そんな「焼き芋」が、なぜかサイダーになったという。6月末日より発売されているのは、『芋サイダー 伊三郎』(オープン価格)なる新ドリンクです。手掛けたのは、お馴染みの木村飲料株式会社。
「また、あの会社が奇をてらったか?」と、半笑いの皆さん。違います。このサイダーが開発された経緯は、ドラマなんです。ご説明させてください。遡るは、数十年前。
あのホクホクして香ばしい味が忘れられない木村社長は、その思い出をサイダーとして再現することを数十年越しに決意! しかもそのサイダーは、美味しい焼き芋を作ってくれた木村飲料創業者(木村伊三郎)にちなんで「伊三郎」と名付けられた。いやはや、思い入れタップリじゃないですか!
ところで、肝心なことを忘れている。味に、まだ触れてない。きっかけがきっかけだけに、焼き芋テイストがするのはわかっているのだけど。……いや、やっぱり想像が付かない。焼き芋味のサイダーって、どんな感じなの?
「サイダーが元々持っている甘さと焼き芋の甘さを絶妙にマッチさせました。当社の女子社員からは、『スイートポテトみたい!』と喜びの声が上がっています(笑)」(同社・担当者)
本当ですか!? その感想は、聞き逃せないな。よし、マジかどうか私が飲んで確かめてみよう!
……その前に、あと1つだけ気になる点が。ボトルが、あまりにもサイダーらしくないのですよ。大仰に巻かれたキャップシールといい、「伊三郎」と毛筆で書かれたラベルといい、焼酎を意識させるようなデザインになっていて。
「炭酸飲料で、色付き(黒)の瓶を使用しているのはかなり珍しいです。『お酒のようで実はサイダー!』というところも、このサイダーの売りです」(担当者)
想像していただきたい。子どもがこの瓶を片手にグイッとやっていたら……? 事情を知らない大人は、戸惑いを隠せないだろうに。お酒と見せかけてサイダー!
そんなこんなで、飲んでみましょうか。まずは、グラスに注いでみよう。……おお、見た目は完全に透明色。サイダーのそれです。しかし、香りがサイダーのそれじゃない。これは、まさに焼き芋の香り。芋焼酎の香りなんてもんじゃなく、完全なる焼き芋の香り! なんなんだ、このサイダーは。
じゃあ、飲みますよ? ……焼き芋です。若干、皮の風味もあるように感じる。
「さつまいもエキスを使用し、思い出の味に近くなるよう開発しました。誰が飲んでも懐かしいと思えるような“思い出の味”を実現しております」(担当者)
懐かしさも特徴だし、他のサイダーでは体験できない甘さも特徴。
「お子様からお年寄りまで、幅広い方々にお試しいただきたいです。また、スイーツ好きの女性にも気に入っていただける味だと考えております」(担当者)
焼き芋は秋に食べたかった。サイダーは暑い夏の日に飲みたかった。では、“芋サイダー”は? これは、オールシーズンに飲みたいです。
(寺西ジャジューカ)