でっかくなった3DSことニンテンドー3DS LLと、「Newスーパーマリオブラザーズ2」が発売されました。ていうか、気づいたらウチに届いてました。
ノリノリで買ったというよりは、宅配が来るまでアマゾンで予約してたのも忘れてた消極っぷりですよ。
1年近く付き合って分かったけど、先代の3DSはドジッ子ハード。前のDSより表現力は優れているものの、ウリの立体視は役立たず。3Dメガネをかけずに絵が飛び出すーーということは、本体を持つ姿勢やのぞき見る角度が厳しく限られてる。斜めから見ればぼやけ、エキサイトして左右の中心からズレても3Dはたちまち崩壊。
ほとんど3D機能は切りっぱなしにしていたが、バッテリーの持ちの悪さはブチ切れもの。
任天堂ハードですから、ファミコンやスーファミといった据え置きハードでどっしり腰を落ち着けて取り組むRPGやシミュレーションのシリーズものが多い。なのに、セーブする前に電池切れ。「ずっと家のコンセントに繋ぎっぱなしの携帯ゲーム機」って、コンセプトおかしくない? しょうがない、バッテリもでかくなってる3DSLLを予約しとくか……そんな感じ。

かたや「Newスーパーマリオブラザーズ2」は、全世界で2500万本以上も売れたメガヒット作の続編。前は3Dが当たり前のなかで2Dアクションゲームへの原点回帰が話題にもなりましたが、「原点回帰の続編」って何? 3DSだけに背景は立体的になるだろうし、天下の「マリオ」を背負ったタイトルが面白くないわけがない。でも、予想を超える化け方はしそうにもない。

さほど期待してないハードの後継機と、妥協する気満々のマリオ続編。二つが別々に届いてたら「そこそこ」で終わってたかもしれない。でも、二つが合体すると、モノの見事に化けた…!
マリオがジャンプする、より広い野山や海で。マリオが駆ける、草原を吹き抜ける風を感じるフィールドで。マリオが翔ぶ、重力の枷を感じさせない軽やかさで。
要するに、画面がデカくなった。
3DSLLの液晶は、従来の3DSから約1.9倍もの巨大化。携帯ゲーム機が大きくなるというとドン亀なイメージをしやすいが、むしろ14インチの液晶テレビが20インチになったのと近い。今までの3DSはHD画質を古ぼけたブラウン管で見ていたとすれば、3DSLLはハイビジョンぐらいの違いを感じる。
画面が広くなったということは、視野角(画面が見える限界の角度)が広くなったってこと。少しぐらい正面からズレても、ちゃんと飛び出して見える。心にゆとりを持って遊べる、これゲームにとって大事。
しかも液晶が明るくクリアになってるもんだから、木や山やブロックや溶岩ステージの火の粉もくっきり浮き上がっていて、まるで飛び出す絵本!
これは感覚的なもんだけじゃなく、たぶん任天堂は意識してそうしている。だって3Dをオフにすると遠景は普通に表示されるが、スライダーで3Dの度合いを強めるにつれ、遠くがどんどんぼやけていくもの。プログラム的に遠近法を強め、立体感をアップしてるのだ。

3DSLLと「Newスーパーマリオブラザーズ2」が同時発売になったのは偶然でも気まぐれでもないはず。他の3DSソフトを3DSLLでプレイしてもそれなりにうれしいが、ただでっかくなったなーってだけ。
その点、「Newスーパーマリオブラザーズ2」は3DSLLで遊ぶために生まれてきたソフトと言っていいい。
今までの3DSでも遊べるが、「また前と同じこと」の感が強い。前作にはいなかったタヌキマリオが加わったけど、遡れば20年以上前のファミコン時代からの古株。100万枚をめざす「コイン集めまくり」をスローガンにしてるのも、基本の作りが変わり映えしてないことから目をそらしてないか?という疑惑。
しかし、3DSLLでプレイすると、このソフトは別物に生まれ変わる。狭苦しい一画面から陸・海・空に飛び出した初代「スーパーマリオ」がビデオゲームにもたらした「広さ」、世界を救うとか姫を助けるとか(毎回さらわれてるしな)放り出して無心に駆け回る楽しさを思い出させてくれるのだ。3DSLLにとっても、ご年輩の方々が「字が大きくなりました!」的に喜んでくれる「鬼トレ」(『脳を鍛える5分間の鬼トレーニング』)も強力な味方だろうけど、年齢性別を超えたユーザーにデカい画面のポテンシャルを伝える「Newスーパーマリオブラザーズ2」はなくてはならないはず。

とはいえ、二作目にして「Newスーパーマリオ」シリーズに早くもマンネリ感が漂ってきたのも否めない。3DSLLとタッグ結成したのだから、「3」は味わったこともない興奮を頼みますよ任天堂さん!
(多根清史)