缶ジュースのプルタブを指輪に見立ててプレゼント、なんてシーンにノスタルジーをおぼえるのは昭和世代ゆえだろうが、愛情さえあれば、ただのゴミが宝石みたいに輝いて見える瞬間は確かにある。

といっても、実際に宝石に見えるのはその時だけ。
あとは思い出の品として、どこかにしまわれるのがせいぜいだろう。缶の飲み口も、いまやプルタブではなくステイオンタブに替わっている。

ところが世のなかには、本当にゴミのようなものをステキなジュエリーに変えてくれるアイテムがある。それが「pick a jewel(ピック ア ジュエル)」。丸めた紙や拾った葉っぱなど、好きなものをクリップに挟むだけで、オリジナルアクセサリーができあがるのだ。

商品を作っているのは、五十嵐勝成さんと麻美さんによる企画・デザインスタジオのfift(フィフト)。遊び心のあるアイテムを数多く手がけており、実は以前コネタで紹介した「メガネを拭くためのTシャツ」も彼らの作品だ。

fiftの麻美さんいわく、
「挟むのは意外なものほどおもしろいと思います。たとえば、くしゃっと丸めた紙は、一見ただのゴミにしか見えませんが、少し形を整えて挟むと、立派なアクセサリーになります」
季節感が出やすい葉っぱはこれからの季節にとくにオススメ。麻美さん自身、色鮮やかなイチョウはよく使っており、花見のときには桜を挟んでいた友人もいたそう。先日オープンさせた「Jewel Box(ジュエル ボックス)」というサイトでも「ジュエリー=挟むもの」のヒントを紹介している。

商品の発売は2010年だが、今年7月に全面リニューアル。
シンプルな板材からなるオリジナルクリップを開発し、ロゴやパッケージも刷新した。
「主役は“挟まれたもの”なので、クリップパーツはなるべく目立たず、挟まれたものを引き立てるのが理想です。アクセサリーらしい見た目を実現するために、3枚のステンレス板材を接合したクリップを採用したのですが、構造がシンプルなだけに、強度を保つことが難しく、試作を重ねました」

リニューアルを機に従来のピアス、ペンダントに加えて、ブローチも新たにラインナップ。カラーバリエーションも増やし、現在は肌なじみのよい上品な金色とステンレスを無垢のまま生かした銀色の2色展開。ピアスフックの素材はそれぞれ14Kゴールドフィルドとチタン、その他のパーツもニッケルフリーで金属アレルギーに配慮している。

もともとpick a jewelを作ろうと思ったのは、南米の先住民族「ヤノマミ族」ノドキュメンタリーを観たのがきっかけ。
「ヤノマミ族はとても原始的な暮らしをしているのですが、髪型も装具も非常に現代的なので衝撃を受けました」
装具は、羽や葉っぱなどの植物が中心。金属を加工する文化はないようで、耳飾りなども耳の切れ込みに飾りを挿しているのだが、羽や葉っぱの刺し方に工夫があり、とてもオシャレなのだとか。
「身の回りにあるものを工夫して装うという文化に非常に感銘を受け、私たちの暮らしにもそのコンセプトを取り入れることができるんじゃないかと思ったんです」

商品はオンラインショップ「novelax store online」で販売中。価格はピアス3,360円、ペンダント3,150円、ブローチ2,730円(※いずれも税込)。

宝石を自分で見つける楽しみもあるし、その日の気分で気軽に装いを変えられるのも魅力のpick a jewel。あなたなら何を挟みたいですか。

(古屋江美子)
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