以前、「防災頭巾になるエコバッグ」という記事を書いたことがある。底部分にヘルメットで使われる緩衝剤が入っており、頭から被ることで災害から身を守るエコバッグについてのリポートだった。

いざとなったら、身近な物が防災用品に早変わり。これって、凄く良くないですか? 普段の生活における安心感が違うもの!

そして、今度はこちらのアイテムのご紹介を。家具の製造・卸販売を行っている「株式会社ミトノ」が開発した『PUT On Stool‐Float』は、言わば“水に浮く椅子”であります。
画像をご覧いただければおわかりの通り、普段は凄くポップで可愛らしい椅子。しかし水害が起こった際は、まるで椅子らしくない機能を発揮! 水に浮くということは、要するにライフジャケットの役割を果たすということなんです。
「東日本大震災を教訓として、私達が製造する椅子に防災機能を付けることを考案しました」(同社・杉浦社長)

でも、どうして水に浮くのだろう? とても浮くとは思えない重さが、椅子にはあるはずじゃない。

どうやら、秘密は素材にあるようです。座る部分の裏側には、水泳の練習で使う「ビート板」と同じ発砲素材を採用。これに捕まればライフジャケットになる。しかも、その浮力は8.0kgだというから安心です。

もう一つ。災害時に椅子を頭から被れば、ヘルメットとなって落下物から身を守ってくれます。
座る部分には強度を持たせた木の板が使われており、直径110mm、重量約5kgの鉄球を用いた実証実験では、上方1メートルからの落下も衝撃吸収したそう。頭と座る部分の間にある発泡材はクッション代わりになるし、質量は女性や子供でも楽々と持ち上げられる3.4kgに。これは、安心して被れるな……。
さらに椅子を逆さまにすることで、避難所などでは座椅子としての活用も可。発砲素材がクッションの、椅子の前脚が背もたれの役割を果たすのです。
「今まで強度デザインに気を付けた椅子は手掛けてきましたが、防災機能に気を付けたのは今回が初です」(杉浦社長)

そんな『PUT On Stool‐Float』は、防災用品店、事務用品店、家具販売店、インターネット等で8月21日より発売されている。
価格は28,350円(税込み)。

「人のたくさん集まる場所、病院、学校、公共施設に始まり一般家庭など全て、震災に遭った場合の備えとして活用していただきたいです」(杉浦社長)
減災を願う同社による、今回の開発なのだ。

今ある椅子の買い替えや新規購入時は、救命機能のついた椅子に交換。いざという時の為の備えにする。
そんな身の守り方も、良いかもしれないですよ。
(寺西ジャジューカ)