■ 努力の塊、松田聖子さんの手書き文字
「聖子さんは、デビューした頃と大人になってからとでは文字の形が変わったんです。 私は小学1年生の時から聖子さんのファンで、聖子さんが書いた文字はよく見ていましたが、 聖子さんが10代の頃は、 当時でいうところの“ブリっ子” のイメージの丸文字を書いてました。ところが、ある時インタビューで『私は自分の字がコンプレックスだったのでペン習字を習い始めました』と言っていたんです。聖子さんと丸文字の印象は強く結びついていたのでとても驚きました。それから時が経って、離婚の時に発表された報告FAXに書いてあった手書きの文字が、全く違ったものだったのです。いかにもペン字で習うようなキレイな字。『本当にペン字を習得したんだ』と思いまして……。私としては衝撃的だったけど、聖子さんの手書きの字には、頑張って上手に書こうという、ひたむきな気持ちが表れていたので、清々しい気持ちになりました。聖子さんは努力する人なんだと思います」
まだ一人目の紹介なのに、いきなりアツイ話!井原さんには、聖子ちゃんの文字の“ブリっ子文字時代”と“ペン字風時代”の変化が分かるように、再現してもらいました。(画像参照)
(※大人の事情により、ご本人の文字は公開できません)
■ 超達筆! 本木雅弘さんの手書き
「芸能界一、達筆といっても過言ではないと思います。
意外に味がある、出川哲朗さんの手書き文字
「知り合いから『出川さんの書く字がすごいよ』って言われたことがあって、実際に確認してみたら、非常に味がある字だったんです。達筆とかそういうのではなくて、文字も曲がってたりするんですけど、気になる字ですね」
そのほか、井原さん注目の手書き文字を一挙に紹介。
●滝沢秀明さんの手書き「可愛くて女性ウケ抜群の、母性本能をくすぐる文字です」
●レディ・ガガの手書き文字「日本のギャルが書くようなカワイイ字です。ギャルが書いたお手本を見て書いているのかもしれません。活字をお手本にするのではなく、ギャルが書いた字をまねして書いているとしたらすごいと思います。ギャルの書く文字はカワイイということを分かっているのかもしれません」
●ペ・ヨンジュンさん、チャン・グンソクさんの手書き「韓国のスターが日本語を書く場合は、ハングルの形の影響なのか、四角い感じの文字になっていることが多いですね。でも、一生懸命書いていると思うと、韓流スターのファンはキュンとくると思います」
ちなみに、韓国ではスターの文字でさえ、話題になることがあるそうだ。
「『チャン・ドンゴンの文字がカッコいいと評判に』というニュースが大手ニュースサイトのトピックスに上がっていました。韓国では、文字が綺麗かどうかの話題が日本より表立っている気がします。日本では『字で人を判断してはいけない』という感覚が強いからかもしれません」
さらに、井原さんが気になっているという、芸能人以外の文字も教えてもらうことに。
●アプリ「美人天気」の手書き文字「男性ウケも女性ウケもする、可愛さと綺麗さとしたたかさを兼ね備えた、まさに『美人』文字です」(画像参照)
●知り合いの新聞記者が書いた手書き文字「50代の方が書いた文字で、一見70~80年代に流行した丸文字のように見えますが、よく見るとそうではなく独自の進化を遂げているので、ガラパゴス丸文字と呼んでいます」(画像参照)
ここまで語られると、井原さんがなぜここまで手書きを好きになったのかが気になるところだ。
――井原さんが手書き文字を好きになったきっかけは?
「美大の予備校に通っていたのですが、ある講師が書く文字が、中ザワヒデキさんのような味のあるとても良い字だったんです。(画像参照)それで、その講師が書いた紙を収集し始めたのがきっかけです」
その後は多摩美術大学でグラフィックデザインを学び、卒業後は雑誌「広告批評」や、村上隆さんの元で働いたあと、フリーのデザイナーとして活動。予備校時代から何年も経ったが、井原さんはその間も、気になった手書き文字が書かれてあるものは収集し続けていて、ファイル30冊分、人数にして500人分以上になったという。特に気に入った文字は「美しい日本のくせ字100選」として、作品集にしている。※作品集は村上隆主催のGEISAIにも出展し、二つの賞を受賞。
それにしても、井原さんの話は、止まることを知らなかった。夢は「美しい日本のくせ字100選」の出版化と、習字教室を開くこと、さらに、手書き文字が好きな人と「文字について語る会」を開くことだそうだ。
手書き文字が減って、活字が目立っている世の中だが、クイズ番組のフリップや街の貼り紙などには手書き文字を見かけることができる。井原さんの話の中に出てきた人が書いた文字を見かけることがあったら、要チェックだ。
(やきそばかおる)