美術科で有名なやまぶき高校の目の前にある、2階建て6部屋だけの小さなアパート「ひだまり荘」。そこで暮らす女の子たちの日常を描いた『ひだまりスケッチ』は、「魔法少女まどか☆マギカ」のキャラクター原案でも知られるマンガ家、蒼樹うめ先生のデビュー作。
近年の萌え4コマ漫画ブームを牽引してきた作品のひとつです。
2007年には、新房昭之監督&シャフトによりテレビアニメ化され、さらにファン層を拡大。その後も、2期の「ひだまりスケッチ×365」、3期の「ひだまりスケッチ×☆☆☆(ほしみっつ)」とシリーズを重ね、今年の10月からは4期「ひだまりスケッチ×ハニカム」が放送されています。
また、主人公の「ゆの」を演じる阿澄佳奈さんがパーソナリティを務めるWEBラジオ「ひだまりラジオ」や、イベントの「ひだまつり」は、まったり癒し系の原作やアニメの作風とはひと味違う、自由奔放な方向性で大人気。SME乃木坂ビルからスタートした「ひだまつり」は、横浜BLITZ、東京厚生年金会館、パシフィコ横浜とスケールアップし、2013年の3月3日に開催される「超ひだまつり第4弾」では、ついに日本武道館へ進出します!
そこで、阿澄さんと、イベントやラジオの仕掛け人でもある「ゆま」さんこと宣伝プロデューサーの高橋祐馬さんにインタビュー。放送中の「ひだまりスケッチ×ハニカム」の話はもちろん、「ひだまり」と歩んできた約6年間や、ひだまり史上最強最大のイベントとなる「超ひだまつり第4弾」についても語って頂きました。


――実は、以前から「ひだまりスケッチ」のファンで。いつか「ひだまり」の企画ができたら、とは思っていたんです。
ゆま それはそれは、ありがとうございます。
――そんな中、「ハニカム」の中で流れた武道館イベントの特報CMを見て「な、なんて思い切ったことを! これは宣伝しなくては!」と思いまして。
阿澄 あはは、ありがとうございます(笑)。
ゆま すごいですね。
愛ゆえの今回のインタビュー、とても嬉しいです。
――なので、「ひだまりスケッチ」という作品やイベントの魅力などについて、伺えればと思っています。
ゆま ぜひぜひ。でも、こうして阿澄さんの隣で取材を受けるのも不思議な感じですね。
阿澄 そうですね。
――あれ? お二人での対談って今までに無かったですか?
阿澄 「ひだまりラジオ」の(おまけ番組の)「残りご飯」では、一緒に喋らせていただいてますけど。
取材とかでは、たぶん……。
ゆま そもそも、僕、ただのサラリーマンですから(笑)。
――では、貴重な機会なんですね(笑)。まずは、放送中の「ハニカム」について伺いたいのですが。終盤に突入した、今の心境は?
阿澄 4期があると決まってから、すごく嬉しくて楽しみで。始まってからも、本当に感謝の気持ちがいっぱいで、毎回楽しくアフレコさせてもらっています。
でも、始まっちゃうと終わりが来るもので……。今は、それに恐怖しているというか(笑)。やっぱり、終わるのが淋しいという思いにかられてしまっていますね。
ゆま 僕も4期ができたことはすごく幸せで、奇跡的なことだと感じています。阿澄さんが仰るようにある種の淋しさもあるのですが、宣伝担当としては、日々の宣伝を引き続き頑張りながら、その先に武道館でのイベントという「ひだまり」を好きな人がみんなで集まる場も作れたので、そこに向けて作品自体を盛り上げていって、作品の役に立てたらと思っています。
――4期の実現までには、非常に特殊なストーリーがあったと思うんですね。
3期の放送終了後、「ひだまり王決定戦」というクイズイベントが開催されて。優勝賞品の「ひだまりスケッチに関する願いを、ひとつ叶えてもらえる権利」を獲得した「ひだまり王」が、「アニメの4期を作って下さい」とステージ上で願った。会場はすごく盛り上がって、現場にいた僕も感動したんですが。その時点で、4期が絶対に作れる保障は無かったわけじゃないですか。
ゆま そうですね。
――その後、4期が正式決定するまでの期間、阿澄さんは、どんなお気持ちでしたか?
阿澄 私たち(出演者)の立場では、待つしかできないんですよね……。
でも、イベントで王が願ってくれて、あれだけ盛り上がって、というのを目の当たりにしてしまったので。「やりたいな」という気持ちはもちろん、「やらなきゃな」って責任みたいなものも加わって。決まるまで、すごくもどかしかったです。
――ひだまり王決定戦の後、4期の実現まではスムーズに進行したのですか?
ゆま 少し裏話ですが、3期が終わった直後から、「次、どうする?」みたいな空気はあったんですよ。(製作委員会の)大人たちの間でも。
阿澄 へえ~。
ゆま それはやっぱり「ひだまら~」(ファンの愛称)の皆さんが、3期を含め凄く応援してくださって、色々な形で愛情を表現してくれていたが故です。でも、4期って(めったにない)特殊なものなので、そこに踏み込んでも大丈夫なのかとか、制作的な面や大人の事情含め、足踏みもしてるような状況だったんです。そんな中、ひだまり王が4期を願ってくれた。そのインパクトはすごかったし、王の願いが大きなきっかけだったのは間違いありません。でも、この4期は「ひだまり」を好きでいてくれる、みんなで辿り着いたものなんです。3期までのそれぞれへの応援、各イベントの盛り上がり、その他色々なものの積み重ねの先にあったもので、ここまでの誰か一人が欠けても、辿り着けなかったと思います。なんていうか、ドアの鍵にいくつものピースをはめていき、最後の1個がはまったらドアが開いた、みたいな感じですね(笑)。
阿澄 うんうん。
――その4期ですが、阿澄さんは、ゆのというキャラクターに変化などを感じていますか?
阿澄 4期は、(3期から登場した)新入生組の乃莉やなずながいて当たり前というところでお話が進むので。ゆのとしては、先輩になってということもあるし、3年生組のヒロさんと沙英さんの卒業が近いこととかも感じはじめていて。本当に微妙ですが心境の変化や成長も、脚本の中にはしっかり組み込まれているんですね。なので、そこには乗っかりたいなと思いつつ。でも、(芝居を)変えようとは特には思っていなくて。
――変わっているけれど、変えない?
阿澄 これだけ長い期間、ひとつの役を演じさせていていると、声優側としては勝手に変わってくる部分の方が大きくって。生きている人間なので(笑)。だから、変わらないように意識した方が、バランス的には良いのかなと思ってます。
――ゆまさんは、宣伝担当として4期をどう見せようといった狙いなどはありましたか?
ゆま 4期の放送前、新房監督に取材をさせてもらったとき、まさに今のような質問をしたことがあったんですね。そうしたら、「ソファにゆっくり座って、ぼんやり見て欲しいなあ」って(笑)
――新房監督らしいですね。
ゆま 変わらないってすごく難しいと思うんですね。ものごとって変わっていくものなので。でも、これまで好きでいてくれたみんなが求めている「ひだまり」らしさみたいなものは、あえて変えないというか。変わらない場所にしたいってことかなって、僕は新房さんの話を聞いたときに、そう感じて。あと、以前よりも尖った演出などは削っている、とも仰っていたんですよね。その方が、空気感を含めた作品全体をより楽しめるからだと思うんですが。作り手は、そういった変わらない当たり前の毎日の大事さ、みたいなものを伝えたいのかなと思うので、僕はそれを受け取って、映像に込められた「ひだまり」らしさをそのまま伝えていくような宣伝をしているつもりです。
――なるほど。では、4期の放送されたエピソード(9話まで)の中で、特に印象的なエピソードを教えて下さい。
阿澄 本当に毎話嬉しくって、選び切れないんですが。キャスト陣みんなが「これはやばい」って言ってたのは「ヒロさん」の回(第6話Bパート)かな。
――3年生のヒロが、卒業後の進路や、ひだまり荘の仲間と別れることについて悩んでしまうエピソードですね。ヒロを演じている後藤邑子さんは入院療養中で、阿澄さんたちとは別の日にアフレコをしたそうですが。
阿澄 はい。実際には、一緒に録れていないんです。私たち(出演者)も原作を読んでるから、4期では、このヒロさんの話があるだろうなっていうのは、みんな思っていたし。実際に台本をいただいてからも、読むだけで「こ、これは……」って(泣きそうに)なって。何度も読もうとしては、パタンって閉じる感じだったんですけど(笑)。実際にオンエアで、ごとぅーさん(後藤さんの愛称)の声が入ってる映像を見たら、想像以上でしたね。深夜なのに、思わずメールをしてしまいました。「寝てたら、すみません」って。
ゆま 良い話ですね。なんだか、ひだまり荘っぽい。
――ゆまさんが印象に残っているエピソードは?
ゆま あえてひとつを選ぶなら、(第5話の)「ナズナゴハン」と「マヨナカノリスケ」が印象的で。
――どちらも、1年生のなずなと乃莉がメインになるエピソードですね。なずなは、ゆのとヒロに料理を教わって、乃莉は夜中に沙英の部屋へ遊びに行く。
ゆま 3期って、いわゆる新キャラ登場のシリーズでもあって、新入生の2人を見たとき、良い意味で新キャラらしい違和感のようなものもあったんですよね。でも、4期になってみると、もう6人でいることが当たり前に感じられて。「ハニカム」(六角形)という(原作者の)蒼樹さんがつけたタイトルの通りに、個性が均等な状態になっている。5話で乃莉となずながフィーチャーされたときも、他の4人と同じように「ひだまり荘の子だよね」って感じられたんです。それが、すごく印象的でした。
――たしかに4期に入ってから、乃莉となずなは、このペア以外の組み合わせのときも、違和感がないですね。「マヨナカノリスケ」の乃莉と沙英とか。
ゆま そうなんですよ。あれが自然だったのが素敵だなって。
阿澄 もう、すっかり当たり前になりましたね。
――さて、ここからは、少し昔のことを思い出していただきたいのですが……。阿澄さんは「ひだまりスケッチ」が初主演作品で、ゆまさんも宣伝担当としてのデビュー作ですよね。
阿澄 はい。レギュラー自体、初めてでした。
ゆま 僕も、初めて1人で宣伝を担当した作品ですね。
――お互いを新人時代から見ているお二人ですが。お互いの第一印象や、現在との違いについて教えて下さい。
阿澄 はあ……(お互いに相手を見ながら)。怯えてます?
ゆま そんなことないですよ(笑)。僕の第一印象は、なんか当たり障りのない言い方になってしまうんですけど、真っ直ぐな方だなという印象ですね。目の前にあることに対して、どうしたら良い形で応えられるか、伝えられるかということに真っ直ぐ向き合ってる方だな、と。「ひだまりラジオ」の瞬間瞬間のトークだけを聴いてると、そうは思わないでしょうけど(笑)。
阿澄 あはは。
ゆま 例えばラジオでいえば、あの発言やパフォーマンスの根底にあるのは、ラジオをどうやったら面白くできるかっていう気持ち故だと思うので。そういう、今ご一緒させていただいて感じる部分の原型みたいなものは、最初からあった印象ですね。もし、阿澄さんがゆのでなかったら、僕の中での「ひだまり」も、見えてきた景色も違ってただろうし。阿澄さんで良かったなって思います。って、すごい真面目に答えてみたんですけど。
阿澄 ありがとうございます(笑)。
(丸本大輔)

後編に続く