コネタコーナーも10年の間に執筆陣や記事の傾向が徐々に変わっているが、「ここ10年ほどで、ウケる記事が大きく変わった」という話を、雑誌、Web、モバイルなど、様々な媒体の編集者から聞くことがある。
どんな点が変わってきたのだろうか。
編集者たちが指摘する共通点を挙げてみたい。

■ ネガティブな記事が敬遠される
以前に比べ、ネガティブ要素の強い記事が敬遠されるようになっていると指摘する声は多数。
考えられる理由としては「特に震災以降、ネガティブなものは荒んだ気分になるので、好まれないように感じる」(週刊誌編集Aさん)という意見のほか、「今はブログをやる人が減っている一方で、FacebookなどのSNSが台頭してきた影響はあるでしょう。『いいね!』などの機能があるから、必然的にネガティブなものの需要が少なくなっているのかも」(Web編集Bさん)などの声も。
かといって、単純にハッピーな話題が好まれるかというと、そうでもなく、「芸人ネタやテレビネタ、スキャンダルなど、俗な話題は伸びますね」(Web編集Cさん)という指摘もあった。

■ サブカルネタが伸びない
「サブカルネタはとにかく弱い」というのは、様々な媒体でよく耳にする話。

「サブカルはどうしても間口が狭くなってしまうから、伸びません。特に、全く知らない名称は、それだけでスルーされてしまいがちです。知らない名前に食いつくのは、一部の好奇心の強い人だけなのかも」(雑誌&Web編集Dさん)

■ 雑学ネタが伸びない
以前は雑学ネタ・おバカネタがウケる時期があったが……。
「テレビなどでもやられすぎて食傷気味なのかも」(雑誌ライターEさん)
「以前は何の役にも立たないことを知っていることを面白がるノリがありましたが、今は『少しは役立つ情報も盛り込むように』と指示されます。おバカネタにすら、豆知識など、実用性を求められることが多いです」(週刊誌編集Aさん)

■ 海外ネタは人気に
「海外に行く若者が減っている」と指摘されるようになって久しいが、その一方で、海外ネタは予想外に伸びるそうだ。
「女性誌では『半径1メートル以内にしか関心がない』なんて言われていた時期もありましたが、今は北欧などを中心に、海外の普通の人のステキな暮らし方などのネタが、けっこうウケます」(女性誌編集Fさん)
「外国と日本との違いには関心があるらしく、『○○なのは日本だけ』とか、『日本が海外でこう見られている』みたいなネタは、食いつきが良いですね」(Web編集Bさん)

また、近年は新聞や雑誌が売上で苦戦しているため、そのWeb版を配信するようになった媒体も増えているが、ウケる記事は紙とWebとで差異があるそうだ。


長期化した不況により、ファッションやメイクの流行はゆるやかな変化になり、カルチャー的にも大きなヒットが生まれづらい印象がある2000年以降。
それでもメディアのスタイルや受け入れられ方は、目まぐるしく変わっている気がする。
(山田山子)