“大学二年生の七月から、翌年の一月にかけて、多崎つくるはほとんど死ぬことだけを考えて生きていた。”
という文からはじまる村上春樹の新刊『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。

ワールドワイドな人気作家、3年ぶりの長編小説。
さらに作品内容が事前に明かされないこともあって、深夜営業している書店には行列ができる盛り上がりだ、なんていう報道も。
ぼくも近所の山下書店大塚店に行ったのだけど、列できてた。
書店員がニコニコしていたのが印象的。

さて、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
期待がふくらみすぎると、えてして、あれれってなっちゃうのだけど、だいじょうぶ。
夢中になって、いっきに読み終わった。

これほど明瞭で現実的な謎が提示される村上春樹作品は、初めてじゃないか。
現実的な謎があり、それを解決するために主人公が行動する。
“多崎つくるがそれほど強く死に引き寄せられるようになったきっかけははっきりしている。彼はそれまで長く親密に交際していた四人の友人からある日、我々はみんなもうお前とは顔を合わせたくないし、口をききたくもないと告げられた。きっぱりと、妥協の余地もなく唐突に。そしてそのような厳しい通告を受けなくてはならない理由は、何一つ説明してもらえなかった。”
これが、謎だ。物語がはじまってすぐ(5ページ目!)に示される。

高校時代の仲良し五人組(“乱れなく調和する共同体みたいなもの”)は、多崎つくる一人を別にして共通点を持っている。