そう聞いたので、早速手に入れてみました。入手した場所はジュンク堂池袋本店。
中身を読むと、確かにこれはすごい。カタログということで280冊の美術書が紹介されているのですが、それら全てに概要だけではなく美術書担当の書店員コメントがついているのです。昨年閉店したジュンク堂新宿店で行われた「本音を言えばこの本が売りたかった」で、各本にコメントがつけられていたのを思い出しますね。
例えば一番面白かったのは『こんにちは美術』(全3巻)という本です。概要には「子どもたちの見る力・感じる力を養う、絵画、写真、彫刻など、現代アートを楽しく紹介。全ページ2度めくるしかけで迫力満点!」とあります。普通のカタログだとこれでおしまいです。でも「defrag」ではここでさらに「かんのん・てんてん・おしぴん・だんがん・びじゅつかん・もうじかん・ほん・いっしゅん・えいえん(J池袋・松岡)」と書店員のメッセージが書かれていて、さらにはキャッチコピーが「何を言いたいか、早く捲り、察せ!」と書かれています。そのまま書店にあるポップが書かれているのです。このように書店員それぞれ自由な文体で書かれていて、読み進めるのがとても楽しくなっています。
defragは「想像力」「身体」「コミュニケーション」「物語」「技術」「知識」「未来」の7つのカテゴリに分けられています。
カタログっぽくない点はまだあります。それは、作品の索引が無いこと。巻末のリストは全国のジュンク堂書店および丸善書店、MARUZEN&ジュンク堂書店の問い合わせ先です。この辺も従来のカタログを意識しない、読み物中心としての本にしようとしている現れではないでしょうか。
せっかくなんで最後にdefragを読んで、それぞれのカテゴリで面白そうだと思ったものを1冊ずつ、書店員コメントと共に紹介してみます。もちろんこれは僕の趣味で選んだものなので、もっと他にも素敵な本がたくさん掲載されています。
1.想像力
『レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の素描と手稿』
哲学、医学、芸術。彼がいかに多分野に興味を持ち追求していったか。多彩な彼の真髄がのぞけます。(M&J札幌・柏木)
2.身体
『線の演習 建築学生のための美術入門』
ドラえもんを描くとき、私たちはどう変化しているのか? 建築を学ぶ人だけではなく、デッサン理論の探求書としても使える1冊。(J池袋・松岡)
3.コミュニケーション
『ROADSIDE USA 珍世界紀行 アメリカ編』
ガイドブック的な要素はゼロ。だって、アメリカまでわざわざ見に行く人なんて他にいないから!(J吉祥寺・大内)
4.物語
『近代ニッポン「しおり」大図鑑』
近代日本のノスタルジックなしおりが満載。素敵なデザインのしおりは、書籍をより味わい深いものにしてくれる魔法の調味料である。(J梅田ヒルトンプラザ・上出)
5.技術
『NEW TOWN』
楽しすぎて繰り返し捲られ、本がバラバラになる率第一位だった作品集。作品を眼の近くすれすれで見ているかのような感覚の書籍レイアウトもすごい。(J池袋・松岡)
6.知識
『はじめての編集』
編集するために、切ってゆくのではなく広げてゆくことの大事さ。ミニコミ製作者にも是非読んで欲しい。
7.未来
『プロ無職入門 高木壮太の活ける言葉』
兎に角タイトルのインパクトがすごい。中の文字数もすごく多いヒマな時に最適!!仕事が無い時とか……。(J大阪・三浦)
どうでしょう? 面白そうじゃないですか? ちょっとお値段的にすぐに購入できないものもありますが、ここで知った本はなるべく早く買いに行きたいと思っています。新たな本が知れて、面白く、読み応えもある。「defrag」を手に入れに、今すぐお近くのジュンク堂や丸善へ行きましょう!
(杉村 啓)