『進撃の巨人』とは別冊少年マガジンで連載中の漫画で、突如現れた人間を捕食する「巨人」との戦いを描いた物語。圧倒的な力の差から絶滅の危機に陥った人類は3重の壁を築き、その中で暮らすことにより巨人から逃れていたが、その壁の一角が破られて……というところからストーリーは始まる。
そこで現地からコネタ視点で『巨人』的なものを探してみた。
カルカッソンヌの城塞は丘の上に築かれている。壁自体も大きいが標高差も含めたらかなりの高さになるので、この壁をどうこうできるとは思えねぇ威圧感はかなりある。町から聞こえる鐘の音を聞きながら、正面の門から壁の中に入ると、壁内は中世の街並が保存され『巨人』で主人公が暮らす町のようだった。
これだけでも世界観は十分だと言えるのだが、これは写真からでも分かっていたこと。何の成果も得られないことにならないように、『巨人』を体感できる(こじつけられる)ものはないか探した。そこで見つけたのがこれ。カルカッソンヌ城塞の要、コンタル城内にある城壁のジオラマ! ……ひでぇもんだな、と思わないでほしい。触れられないように仕切りはあるが、超大型巨人目線で壁を見下ろせるのだ(ただし大人だと目線は高過ぎるのだけれど……)。さらに座学を生かして解説文を読むと、『巨人』のストーリーにも劣らない悲運の歴史がカルカッソンヌにあった。
かつて南仏にカタリ派というキリスト教の一派が信仰を伸ばしていたそうだ。しかし考え方が教皇庁と相容れず異端とされた。これが悲劇の幕開けとなる。
南仏へ勢力を伸ばしたいフランス王の思惑もあり、カタリ派を滅ぼすためのアルビジョワ十字軍が編成、派遣されることになった。この進撃により合わせて50年間で100万人のカタリ派が虐殺されたという。
カルカッソンヌを治めるトランカベル家はカタリ派を保護したが、周辺からの避難民により壁の中が人口過密となる。また水も絶たれ15日間で滅ぼされてしまった。追いつめられたカタリ派は、険しい山頂にある城塞に身を潜め攻撃を防いでいたが、最後は教皇庁という中央および北(パリ)からの巨人に対抗できずに全滅したそうだ。
じつはそのパリにも『巨人』の世界観を体験できるところがある。それは郊外にある「フランス・ミニアチュール」というテーマパーク。ここではフランス各地にある117の有名建造物が30分の1というミニチュアサイズで園内に造られている。
このようなテーマパークは栃木県にある東武ワールドスクウェアなど日本にもあるが、ここの素敵なところは園内にカルカッソンヌの城塞が建てられているということ。
しかも場所の性格上、ここは来場者の「巨人ごっこ」がデフォルトなので少々の奇行も恥ずかしくない。ただし蹴ったり体当たりして壁に穴を開けようとすると確実に係員に駆逐されるで、そこはちゃんとルールを守りましょう。
(加藤亨延)