七夕の笹飾りが、デパートや大型スーパーなどの一角を、今年も賑わせていた。

思えば、自分が子どもの頃、短冊に書かれた願い事といえば、「平泳ぎ50メートル泳ぎたい」「クロール50メートルのタイムで○秒をきれますように」「水泳で赤線二本になれますように」など、水泳に関するお願い事が圧倒的多数だった気がする。

時節柄はもちろんのこと、水泳特訓などを行う熱心な地域柄もあったのだろう。

では、いまの人たちは七夕の短冊にどんなお願い事を書くのか。
七夕飾りが設置された都内のデパート、ファッションビルなど3箇所で調べてみたところ、「家内安全」「商売繁盛」「健康」などの定番の願い事や、「○○試験○級合格」「志望校合格」「テストで100点とりたい」といった学業成就系もそれなりにあったが、ちょっと意外なパターンも多く見られた。

以下にいくつかの傾向を挙げてみたいと思う。
 1・親→子への願望系
「○○(名前)が△校に合格できますように」から始まって、「△(名前)が就職できますように」「息子がそろそろ定職につけますように」など、親が子どものことを具体的かつ切に願う例は案外見られた。
 2・「なりたい」系
「野球選手」「サッカー選手」などの将来の夢はほとんどなく、「なりたい」系に見られたのは幼い女の子の「プリキュア」と男の子の戦隊ヒーローくらい。定番の「お金持ち」は明らかに大人が書いたものだった(ちなみに、男子は将来の夢ではなく、ゲームの全クリアや、カードゲームで欲しいものを書くパターンも多数)。
 3・恋愛系
「○○と両思いになれますように」「彼氏ができますように」といった定番モノのほか、「今年こそ良縁がありますように」「いま付き合ってる人と結婚できますように」という現況を入れ込んだ願いも多数。
 4・ふわっとした大きな願い系
実は予想外に多かったのが、漠然とした規模の大きな願い事の類。「世界平和」「自分の好きな人がみんなずっと笑顔でありますように」「いつも笑って過ごせますように」「いつも優しい人でありたい」といったものが多数見られた。その他、震災復興を意識したもののほか、ただ現状維持を願う人も。
 5・具体的で熱烈な願い系
非常に具体的な願い事を書いているケースで目立ったのが、ジャニーズのコンサートチケット関連。

「MONEYをためてキスマイに会いに行けますように」「今年も山Pに会えますように」「嵐フェスに行けますように」「○○コンサートで神席がきますように」といったものや、活動停止中のメンバーにメッセージを送るものも。

デパートなどという場所柄もあるだろうけれど、意外なほど、大人の願い事が多く見られた。
また、具体的な目標や夢ではなく、<5>のパターンのような「状況」をあらわすふわっとした願い事の多さも際立っていた。
そんななか、いちばんホットだったのは、ジャニーズファンのコンサートチケットに対する熱意の数々。

また、短いフレーズは、願い事というよりも、今の気分や関心事を書いただけだったり、LINEなどのプロフィールに添えられたメッセージのようなものだったりするパターンも多い。

ギラギラした願いではなく、ゆるく穏やかなあたたかさを求める人が多いのだろうか。そう思うと、七夕の短冊って、意外と世相を反映している気がしてならない。
(田幸和歌子)
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