そこで『猫の恩返し』を楽しむために4つのポイントをピックアップしてみた。
■バロンはどうして小さいの?
『猫の恩返し』は、『耳をすませば』の主人公・月島雫が書いた物語という設定。
西司朗がドイツからもらってきた30センチほどの猫の人形がバロン。
だから他の猫たちと違って、小さな比率で存在するのだ。
■監督はどうして宮崎駿じゃないの?
ジブリ作品なのに監督が宮崎駿じゃない。高畑勲でもない。
森田宏幸監督だ。
新人、いきなりジブリ作品、いきなり監督。
けっこうな無茶だ。どうして、こうなったのだろう。
ことの起こりは1999年。
「猫のキャラを使った20分ほどの作品をつくってほしい」とスタジオジブリに依頼がきた。
あるテーマパークからの企画だ。
宮崎駿は、この頃、こう考えていた。
我々はもう年だ。新しい担い手を育てないといけない。
テーマパークの企画はぽしゃってしまうが、45分ぐらいのスペシャルモノとして新人にまかせようと考えた。
『となりの山田くん』で活躍した森田宏幸が抜擢される。
森田は、まる九ヶ月をかけて絵コンテを描く。
これを観て、鈴木プロデューサーは驚く。
このときの様子を鈴木プロデューサーは、「『猫の恩返し』誕生物語」(『猫の恩返し』DVDに収録)でこう語っている。
「宮さんに言わなきゃいけないわけですよ。それで説明するときに……。