空港で人気キャラクターなどがデザインされた飛行機を見ると、思わずカメラを向けてしまう人も少なくないのでは。

最近は特別塗装機の種類も増えているが、なかでもユニークなのが「天草エアライン」。
親子イルカをモチーフにしたデザインは、一度見たら忘れられないキュートさだ。

同デザインは今年2月にデビューしたばかり。これまでも同社の機体にはイルカが描かれ、「イルカの飛行機」として親しまれていたが、今回は機体全体を親子のイルカに見立てたデザインへと一新。機体のデザインはデザイナー横田青史さんによるもの。天草出身の放送作家である小山薫堂さんが手がけるBSテレビ番組の公募で決まった。

イルカの愛称も、天草エアラインによって一般公募され、胴体部分の親イルカは、天草弁で「かわいい」という意味の「みぞか」。エンジン部分の子供イルカは、男の子「かい」くんと女の子「はる」ちゃん。あわせて「快晴」という語呂合わせ。空の旅が快適で心が晴れやかになるように、という思いが込められているそうだ

同社が保有している機材は39人乗りのプロペラ機「ダッシュ8」の1機のみ。つまり、同社の飛行機に乗る、イコール「親子イルカ」の飛行機に乗るということ。1機とはいえ、1日に、天草熊本間を1往復、熊本大阪間を1往復、天草福岡間を3往復しているから、乗るチャンスはそれなりにある。

今回は天草から福岡までのフライトを利用した。
当日は天候も穏やかで、とくに揺れもなく、静かで快適。途中、高度2,700mというアナウンスが入ったが、高度が低いぶん、天草の美しい景色もよく見えた。

福岡までの飛行時間は35分と短く、客室乗務員は1名だったにもかかわらず、冷たいおしぼりを配ってくれるなど、アットホームなサービスもいい感じ。シートポケットにあった機内誌『イルカの空中散歩』は手作り感たっぷりのクリアファイル。天草の観光名所の紹介などに加え、客室乗務員紹介コーナーなど、親しみやすい内容も楽しい。

もちろん、天草エアラインがイルカをモチーフにしているのにはワケがある。実は天草はイルカウォッチングが観光の目玉。天草市五和町の通詞島沖合は速い潮流と起伏に富んだ海底によって魚類の宝庫になっており、それをエサに約200頭の野生のミナミバンドイルカが暮らしているのだ。天草でのイルカウォッチングは、98%という高確率でイルカに出会えるのがウリ。取材時のクルージングでも、港を出て10分ほどで、すぐにイルカの群れに遭遇した。

親子イルカの飛行機に乗って、イルカウォッチングを楽しむという、イルカ三昧の天草旅行。飛行機好き、イルカ好きならずとも、ぜひ一度チェックしてみては。

(古屋江美子)
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